こんにちは。
元住宅営業マンまめおやじです。
住宅業界歴34年・宅建士・FP資格保有。実際に現場で起きたトラブル事例をもとに解説します。
「今の家を売って、新しい暮らしを始めたい」
そんなときにぶつかるのが、”売ってから買うか”、”買ってから売るか”の問題です。
住み替えは人生の転機。だからこそ、失敗や後悔は避けたいもの。
本記事では、「売り先行・買い先行」の違いや、売却理由別の注意点などを分かりやすく解説します。
1. 住み替え① 売り先行のパターン
まず「今の家を売ってから新しい家を買う」のが「売り先行」です。
資金計画が立てやすい一方で、仮住まいが必要になるケースもあります。
■メリット
- 資金計画が立てやすい
- 売却に集中できる
- 住宅ローン返済中でも買い替え可能
■カンタン解説
1. 資金計画が立てやすい
今の家を売ってから新しい家を探すので、「手元にいくら残るか」を正確に把握したうえで、次の購入計画を立てることができます。
住宅ローンの借入額も明確にしやすく、無理のない資金計画が可能です。
2. 売却に集中できる
焦って買い先行にすると「早く売らなきゃ」と安く売ってしまいがちですが、売り先行ならしっかり時間をかけて売却活動ができます。
3. 住宅ローン返済中でも買い替え可能
売却代金で住宅ローンを完済できるため、新居購入の資金も確保できる。
■デメリット
- 仮住まいが必要になる可能性
- タイミングを合わせるのが難しい
- 内覧対応の煩雑さ
- 資金的な負担
- 売却リスク
- ダブルローンのリスク
- 税金優遇措置の減少
1. 仮住まいが必要になる可能性
売却が決まっても、次の家がまだ見つかっていないと「一時的に賃貸に住む=仮住まい」が必要になります。
引っ越しが2回になるため、コストも労力も増えます。
2. タイミングを合わせるのが難しい
売却と購入のタイミングがうまく合えば理想ですが、実際にはスケジュール調整が難しく、思ったよりも時間がかかることもあります。
3. 内覧対応の煩雑さ
住みながら売却活動を行う場合、内覧希望者が訪れるたびに、室内を片付けたり、掃除をしたりと、準備や対応が煩雑になります。
また、内覧のスケジュール調整も必要で、時間が押されることもあります。
4. 資金的な負担
仮住まいの費用や、内覧対応の準備、売却活動の費用などが積み重なり、資金的な負担が増える可能性があります。
5. 売却リスク
不景気や市場の変動により、売却が難しくなる可能性も考えられます。
売却がうまくいかない場合、空き家状態が続き、固定資産税や都市計画税の支払いが続きます。
6. ダブルローンのリスク
売り先行で、売却が完了する前に新居の購入が決まってしまうと、ダブルローンになる可能性があります。
これは、住宅ローン審査が通らなくなる可能性や、返済負担が大きくなるリスクを伴います。
7. 税金優遇措置の減少
売り先行で、新居購入の時期が遅れると、税金の優遇措置を受けられなくなる可能性があります。
■元住宅営業マンのひとこと
「資金面の安心感」を優先して売り先行のケースが多かったです。
ただし、仮住まいの手配をしっかり考えておかないと、売れたのに住む場所がないという状況になりかねません。
◆「住宅ローン控除」も押さえておきましょう。
2. 住み替え② 買い先行のパターン
こちらは「新しい家を買ってから、今の家を売る」というパターンです。
住み替えのスケジュールにゆとりがあり、仮住まいを避けたい人には向いています。
■メリット
- じっくり物件を探せる
- 仮住まい不要で引っ越しもスムーズ
- 内覧の煩わしさがない
- 安売りすることになりにくい
1. じっくり物件を探せる
不動産は1点もの。縁のものともいわれます。本当に良い物件が出てきた時にすぐに購入することができます。
2. 仮住まい不要で引っ越しもスムーズ
荷造り・荷ほどきが2回は、相当煩わしく疲れるもの。
3. 内覧の煩わしさがない
立ち会う必要がありません。鍵を不動産屋に預けることができます。
4. 安売りすることになりにくい
焦って売却する必要がないので、こちらの希望額を下回ったら断ることができます。
■デメリット
- 資金繰りが難しい(住宅ローンが二重になる可能性)
- 売却金額が確定しないため、資金計画が立てにくい
- 家が売れないリスクがある
- 売却額が読めないまま買うことになる
1. 資金繰りが難しい(住宅ローンが二重になる可能性)
今の家のローンと新居のローンが二重になり、返済額がダブルになることも。
また、二重ローンは審査が厳しく、希望額が減額されることもあります。
2. 売却金額が確定しないため、資金計画が立てにくい
売却金額が確定する前に新居に引っ越します。
売却価格が大きく下回ってしまうと、今後の資金計画が苦しいものになる場合も。
3. 家が売れないリスクがある
経済状況等の悪化により、売れずに空き家状態が長引き、税金だけ払い続けることも。
4. 売却額が読めないまま買うことになる
上記のリスクを抱えた状態での購入のため、勇気がいります。
■元住宅営業マンのひとこと
資金に余裕がある方や、ローンの審査が問題ない方には向いていますが、「少しでも無理のない計画を立てたい」なら売り先行のほうが安心だと感じます。
◆「住宅ローンで落ちる人」記事詳細はこちらから
3. 結局どっちがいい?売り先行 vs 買い先行
■カンタン解説
どちらが良いかは、「資金計画の優先」か「住み替えスムーズさの優先」かで変わります。
| 優先したいこと | 向いているパターン |
|---|---|
| お金の不安を減らしたい | 売り先行 |
| 仮住まいを避けたい | 買い先行 |
| じっくり新居を探したい | 買い先行 |
| ローン審査に不安がある | 売り先行 |
| 項 目 | 売り先行 | 買い先行 |
|---|---|---|
| 資金計画 | 安定しやすい | 不安定になりがち |
| 仮住まい | 必要な場合あり | 基本的に不要 |
| スケジュール | 売却後に動きやすい | 調整が難しい場合も |
| 希望の住まい | 妥協が出やすい | 納得の物件を選べる |
正直なところ、「どちらが正解か」は人によって異なります。
私のお客さまでも、
売り先行を選んだ方の多くは「思ったよりも買い先を急がずに済んだ」「お金の不安が少なかった」と満足されていました。
一方で買い先行を選んだ方は「引っ越しが1回で済んで助かった」とおっしゃっていました。
どちらが良いかは、資金状況・家族構成・仕事や学区などの条件によって異なります。
大切なのは「自分たちにとって何を優先するか」を明確にすることです。
■元住宅営業マンのひとこと
予算重視なら売り先行、住まいの希望重視なら買い先行が基本の判断軸です。
経験上、売り先行で「思ったより売れなくて焦る」人、買い先行で「売れずにローンが二重に…」というケース、どちらもあります。
◆「家づくりでお金が不安な人」記事詳細はこちらから
4. どんな人がどちらに向いている?
■売り先行が向いている人
- 資金計画を重視したい人
- 住宅ローン残債が多い人
- 時間をかけてじっくり売却したい人
- 仮住まいが可能な人
- 空き家での売却を希望する人
- 住宅ローンが組めない人
- ダブルローンを避けたい人
- 新居の購入資金が不足している人
■買い先行が向いている人
- 資金に余裕がある
- じっくりと新居探しをしたい
- 仮住まいをしたくない
- 物件の条件が良い
- 内覧対応や売却の手間を避けたい
5. 【売却理由別】どう進める?売り先行・買い先行
住み替えの進め方は、「なぜ家を売るのか?」という理由によっても最適な順序が変わります。
■田舎に帰る(Uターン)
- 基本は売り先行がおすすめ。実家に一時的に住める場合が多いため、仮住まい費用が不要なケースもあります。
- 先に売却で資金を確定 → 移住先の家は現地でゆっくり探す流れが安心。
■離婚
- 事情によりますが、売り先行が多め。
- 財産分与が絡むため、家の売却価格が確定してからの方が手続きしやすいです。
■ローンが返せない
- 迷わず売り先行です。
- 滞納が長引くと任意売却や競売に発展するため、早めの売却活動を。
■相続で家を手放す
- 状況次第ですが売り先行が一般的。
- 相続登記などの手続きと並行して売却準備を進めやすく、税制面でも早い方が有利なこともあります。
■元住宅営業マンのひとこと
売却理由によって、取るべき戦略はかなり変わります。
特に「住宅ローンの残債がある」「相続で複数人の共有名義になっている」などの場合は、慎重な段取りが必要です。
不動産会社に相談する際も、「なぜ売るのか」を正直に話すことで、的確なアドバイスがもらえるのでご安心ください。
6. 共有名義の場合の売却
■結論:所有者全員の同意がないと売却できない
家が共有名義の場合、名義人全員の「売却への同意」が必須です。
一人でも反対すれば、勝手に売ることはできません。
■カンタン解説
共有名義は、夫婦や親子、兄弟姉妹でよく見られるケース。
不動産登記簿に記載されている「持ち分割合」に応じて所有権があります。
■元住宅営業マンのひとこと
離婚後は、意見が食い違って売却がスムーズに進まないことも。
事前に話し合いの場を設け、買取りなどの選択肢も検討しましょう。
相続の場合も、早めに遺産分割協議を済ませておくと安心です。
◆「共有名義」記事詳細はこちらから
7. 売却してローンが残る場合
■ポイント
- 不足分は現金で補う必要がある
- 住み替えローンを活用する方法もある
- 金融機関の承諾がないと抵当権の抹消はできない
■カンタン解説
売却代金だけではローンを完済できないとき、不足分を一括で返すか、「住み替えローン」などで新居とまとめて借り入れる方法があります。
金融機関との事前相談が重要です。
また、金融機関が抵当権(担保)を外してくれないと売却自体ができません。
スケジュールと資金計画は慎重に立てましょう。
■元住宅営業マンのひとこと
ローンが残るケースは結構ありましたね。フルローンで家を建てて離婚となると、結構大変です…
8. 売らずに賃貸に出す方法も
■カンタン解説
売却せずに「賃貸物件」として貸し出す方法もあります。家賃収入をローン返済に充てることで、資産を手放さずに済みます。
■こんな人に向いている
- 売却価格が安く、損になりそうな人
- 将来的に戻る予定がある人
- ローン返済を家賃でまかないたい人
ただし、空室リスクや原状回復費用、管理の手間などもあるため、賃貸経営の知識が必要です。
費用はかかりますが、管理会社に任せる選択肢もあります。
■元住宅営業マンのひとこと
売る・貸すの判断は「資産価値が落ちにくいエリアかどうか」がカギです。
駅近や需要のある地域なら、賃貸の方がトクになる場合もあります。
複数の選択肢を検討し、損しない判断をしたいですね。
9. リースバックとは?
■仕組み
- リースバック会社に自宅を売却し、現金を受け取ります。
- 同時に、売却した自宅をリースバック会社から賃貸借契約を結び、家賃を支払って住み続けます。
- 引越しをすることなく、住み慣れた自宅に住み続けることができます。
■こんな人に向いている
- 今の家に住み続けたいけれど現金が必要な人
- 住み替え時期を自分で調整したい人
- 老後の生活資金に不安がある人
■カンタン解説
家賃が相場より高めになりやすい点や、契約期間に制限がある場合がある点に注意。あくまで”最終手段”として考える方も少なくありません。
■元住宅営業マンのひとこと
「現金が必要。でも住み慣れた家を離れたくない」という心理にフィットします。
ただし、買取は安く買い叩かれるケースもあるので、複数の業者に見積もりをとるのが鉄則です。
10. リバースモーゲージとは?
■カンタン解説
リバースモーゲージとは、自宅を担保に、契約者が生存している間は毎月利息のみを支払い、契約者が亡くなった際に、自宅を売却して元金を返済するローンです。
通常の住宅ローンとは逆(リバース)に、借入残高が増えていくのが特徴です。
■リースバックとの違いは?
大きな違いは不動産の所有権の移転の有無です。 リバースモーゲージは、自宅を担保に融資を受けるため、所有権はそのまま住み手(借主)に残ります。
一方、リースバックは、自宅を売却して資金を得るため、所有権は買主に移転し、賃貸契約で住み続ける形になります。
| 項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|
| 仕組み | 担保融資 | 売却後の賃貸 |
| 所有権 | 借主 | 買主 |
| 資金 | 借入金 | 売却代金 |
| 審査 | 金融機関による審査 | リースバック会社による審査 |
| 対象者 | 高齢者 | 資金調達ニーズがある人 |
■元住宅営業マンのひとこと
私が現役だった頃はまだ普及していなかった制度ですが、近年は活用される方も増えています。老後の資金対策として注目されていますので、気になる方は専門家や金融機関に相談されることをおすすめします。
11. 実例紹介
筆者が現役時代に実際に経験した事例をご紹介します。
■事例紹介①
30代夫婦が住み替えを検討し、売り先行を選択。1年かかり、希望金額を下回って売却してローン完済。
同じ団地内で土地を購入して建築。住替前と比較すると、工務店の家築5年30坪→大手ハウスメーカー新築35坪へ。
返済額は金利が約2%下がったため、返済額は少し安くなった。
■事例紹介②
40代二世帯住宅の住替え。
早期に売却できたが、お母様が高齢で仮住まいの懸念が。不動産会社の担当者の仲介で所有者(=購入者)との間で賃貸契約を結び新居の完成まで、住み続けられることに。
たまたま、購入者が入居を急いでなかったために実現できた。
12. まとめ
住み替えを考えるとき、売り先行・買い先行の選択だけでなく、売却理由・家族構成・ローンの状況など多くの要素を検討する必要があります。
特に「売却してローンが残る」「名義が共有になっている」など、専門的な知識が求められる場面では、早めの相談と準備がカギになります。
家づくりは正解が一つではありません。
本記事の内容が、後悔のない判断をするための参考になれば幸いです。
迷ったときは、まず複数の不動産会社に査定・相談を依頼してみましょう。 話を聞いてもらうだけでも、自分たちに合った進め方が見えてくることがあります。
筆者の考え方や立ち位置については
当ブログについて
にまとめています。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ





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