こんにちは。 元住宅営業マンまめおやじです。
住宅業界歴34年・宅建士・FP資格保有。実際に現場で起きたトラブル事例をもとに解説します。
引渡し当日——。
長い家づくりがついに終わる、その日です。
ところが、この「当日」に思わぬトラブルが起きることがあります。
入金のタイミング、書類の確認、鍵の受け渡し。どれかひとつでもズレると、引渡しは成立しません。
この記事では、元住宅営業マンとして数百件の引渡しに立ち会った経験をもとに、引渡し当日の流れと注意点を解説します。
【この記事はこんな人におすすめ】
- 引渡し日が近づいている人
- 現金払いで購入予定の人
- 自己資金がほとんどなくローンで支払う人
■ 引渡し前の入金タイミング|ローンと現金で大きく違う
引渡しは「お金の受け渡し」が完了して初めて成立します。ここを甘く見ると、当日になって慌てることになります。
▼ローンの場合|手続きは早めが鉄則
住宅ローンは、引渡し当日に銀行から住宅会社へ直接振り込まれます。
ただし、その手続きは当日ではありません。
銀行によっては、引渡しの1か月以上前から手続きを開始しなければならないケースがあります。
特に農協(JA)や一部の信用金庫では、登記の関係でスケジュールが早めに組まれることがあります。
「引渡し日が決まってから動けばいい」と思っていると、手続きが間に合わなくなる可能性があります。
事前に担当者に手続きから振込までの日数を確認しておきましょう。
▼現金の場合|着金確認にタイムラグがある
現金払いの場合、施主が自分で振込手続きをします。
今はスマホで手続きできるので便利になりましたが、振込んだ瞬間に引渡しができるわけではありません。
住宅会社側が入金を確認するまでに、時間がかかります。午前中に振込んでも、会社の経理が確認できるのが午後になるケースもあります。
住宅会社の定休日に引渡しをすることがあります。経理が休みだと着金確認ができませんので注意が必要です。
引渡し日のスケジュールを組む際は、振込から着金確認までの時間を見越した余裕を持つことが大切です。
■ 引渡し当日の基本的な流れ
引渡し当日は、おおむね以下の流れで進みます。住宅会社によって多少異なりますが、大きな流れは共通しています。
①入金確認 ローンの場合は銀行からの振込が確認され次第、現金の場合は会社側が着金を確認した時点で、手続きが進みます。
これが確認できないと、以降のステップには進めません。
②書類の確認・署名 引渡しに必要な書類(引渡し確認書・保証書・取扱説明書など)の確認と署名を行います。
書類の量が多いので、時間に余裕を持って臨みましょう。
③設備の取扱説明 キッチン・給湯器・床暖房・換気システムなど、主要設備の操作説明を受けます。
その場で疑問点は必ず確認してください。後から「使い方がわからない」となるケースは少なくありません。
※私の在籍した会社での施主検査時、設備メーカーの説明員に来ていただくケースもありました。
④鍵の受け渡し すべての確認が終わったら、鍵を受け取ります。この瞬間に所有権が施主に移ります。
なお、火災保険はこのタイミングで有効になっていることが前提です。
引渡し前日までに開始日の設定が完了しているか、必ず確認しておきましょう。
◆火災保険については、こちらも参考にしてください。 ↓
■ 実体験|ギリギリで成立した引渡しの一日
これは約20年前の話です。
その現場は、引渡し直前までもめていました。
仕上がりの悪い箇所が2か所、さらにキッチンの発注ミスが重なり、補修・交換工事が引渡し当日の朝までかかったのです。
現場監督・施主・私(営業担当)の三者で、朝一番に現場に集まりました。
補修箇所とキッチンをその場で確認し、施主にOKをいただいて、そのまま銀行へ向かってもらいました。
振込が完了した施主から、振込伝票を会社へFAXしてもらい、午前中に入金確認。
そして夕方、ようやく引渡しが成立しました。
引渡し日は施主の希望する日柄で決まっていたため、日程をずらすことができませんでした。
すべてがギリギリで、関係者全員がヒヤヒヤしながら動いた一日でした。
当時はFAXで振込伝票を送っていましたが、今はスマホで振込ができます。
手続きは便利になりましたが、住宅会社側の着金確認に時間がかかるという構造は今も変わりません。
現金払いの方は、余裕を持ったスケジュールを組むことを強くおすすめします。
■ 仮設電気代の清算|知らないと当日驚く
引渡し当日、意外と見落とされがちなのが仮設電気代の清算です。
建築中の現場では、工事用に仮設の電気を引いています。この電気代を施主に請求する会社と、請求しない会社があります。
請求する会社の場合、引渡し当日に精算するケースがほとんどです。
※見積に仮設水道と電気が入っていて、清算のやりとりが手間なので清算しない会社が多いです。
金額は数千円から数万円程度が多いですが、事前に聞いていないと当日になって「え、これは何の費用ですか?」となります。
事前に担当者へ「仮設電気代の清算はありますか?」と確認しておくと安心です。
■ 引渡し当日の引越しが危ない理由
引渡し当日に引越しを入れるのは、リスクがあります。
引渡しが予定通り進むとは限りません。
入金確認の遅れ、書類の不備、建物の不具合、設備説明の長引きなど、想定外のことは起こります。
引渡しがずれ込んだ場合、引越し業者との段取りが崩れます。
また、引渡し前の建物はまだ住宅会社の管理下にあります。万が一、荷物搬入中に傷やトラブルが発生した場合、責任の所在が曖昧になるリスクもあります。
引越しは引渡し翌日以降に設定するのが、トラブル回避の基本です。
◆引渡し前の荷物搬入リスクについては、こちらも参考にしてください。 ↓
■ 教訓|余裕を持ったスケジュールが引渡しを守る
引渡し当日は、複数の手続きが同時に動きます。
入金・確認・書類・鍵の受け渡し、どれかひとつが遅れると全体が押します。
特に注意したいのは以下の3点です。
- ローンの手続きは早めに動く(銀行によっては1か月以上前から)
- 現金払いは着金確認の時間を見越してスケジュールを組む
- 引越しは翌日以降に設定する
日柄や引越し業者の都合で日程が制約されることはありますが、できる限り余裕を持った計画を立ててください。
■ まとめ
引渡し当日は「ゴール」ではなく「新生活のスタート」です。
- 入金タイミングはローンと現金で大きく異なる
- 当日の流れ(入金確認→書類→設備説明→鍵受け渡し)を把握しておく
- 仮設電気代の清算は事前に確認
- 引越しは翌日以降が安全
余裕を持ったスケジュールで、気持ちよく新生活をスタートさせてください。
家づくりは正解が一つではありません。 本記事の内容が、後悔のない判断をするための参考になれば幸いです。
筆者の考え方や立ち位置については、当ブログについてにまとめています。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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