こんにちは。
元住宅営業マンまめおやじです。
住宅業界歴34年・宅建士・FP資格保有。現場で何百件もの引渡しに立ち会ってきた経験からお伝えします。
「引渡し日の前に荷物を搬入してもいいですか?」
この質問、現場では意外と多く受けます。そしてその裏に潜むリスクを、施主さんはほとんど知りません。
引渡し前の荷物搬入は、盗難・火災・キズの責任問題という3つのリスクを抱えています。
しかも工事保険の対象外になるケースが多く、何か起きても「担当者の善意頼み」というグレーゾーンな対応になりがちです。
今回は私が実際に経験したエピソードをもとに、その実態をお伝えします。
この記事はこんな人におススメ
- 引渡し前に荷物を搬入したいと考えている方
- 引渡し日に合わせて引越し業者を手配しようとしている方
- 住宅会社から「大丈夫ですよ」と言われて不安な方
- 万一のときの責任の所在を知っておきたい方
結論:引渡し前の荷物搬入は、できる限り避けてください
理由は3つあります。
盗難・火災・キズ、どれが起きても工事保険の対象外になるケースがほとんどで、補償されないリスクが高いからです。
実際にあった話|工事キーで一日立ち会うことになった経緯
ある現場で、担当監督が施主に引渡し日を一日間違えて伝えてしまったことがありました。
監督の認識は日曜日、施主の認識は土曜日。
そのすれ違いに気づかないまま、施主から「引渡し日に荷物を搬入してもいいですか」
と問い合わせがあり、私は「問題ありません」と答えました。
その後、何気なく監督に話すと日付の違いが発覚。監督はすぐに施主へ連絡しましたが、
「その日は日柄がいい。知り合いの家電屋で家電を一式購入して、無理を言って搬入日もその日に押さえてもらった。変更はできない」とお怒りの返答。
監督から相談を受けた私が施主へ改めて説明しましたが、引渡し前搬入のリスクを伝えてもピンとこない様子で、「日程は変えません」の一点張り。
最終的に、土曜日は別の打ち合わせが入っていて現場に出られない監督の代わりに、私が工事キーを持って一日中現場に立ち会うことになりました。
当日は搬入に関するトラブルもなく、翌日の日曜日に無事引渡しを終えることができました。
しかしこのとき、もし何か起きていたら誰が責任を取るのか、私自身が一番よくわかっていました。
▼元住宅営業マンのひとこと
結果論として何もなかっただけです。
私が細心の注意を払ったから無事だったのであって、これは「安全だった」とは言えません。
担当者の善意と注意力に頼っただけの話です。
◆引渡し前荷物搬入のリスクについては、こちらの記事もあわせてご覧ください
引渡し前の荷物搬入が抱える3つのリスク
①盗難リスク
引渡し前の建物は、まだ施主の所有物件として法的に確定していません。
現場には職人や業者など、不特定多数の人間が出入りしています。
万一、搬入した家具や家電が盗まれても、施工会社側の警備責任は明確ではなく、補償されないケースがほとんどです。
▼元住宅営業マンのひとこと
引渡し前の現場は「誰のもの」かが曖昧です。鍵も工事キーで複数の業者が持っています。
そこに高価な家電を置いておくのは、正直怖いと思っていました。
②火災リスク
引渡し前の段階では、施主が加入する火災保険はまだ適用されていないケースがほとんどです。
契約上、火災保険の効力は引渡し日以降に発生するのが一般的で、
引渡し前に工事中の火災や漏水で荷物が被害を受けても、保険が下りない可能性があります。
▼元住宅営業マンのひとこと
施主さんは「火災保険に入っているから大丈夫」と思いがちですが、引渡し前はその保険がまだ効いていません。
この点、ほとんどの施主さんが知らないまま搬入しています。
◆火災保険関連記事はこちらから
③キズ・破損の責任問題
搬入中に家具や家電にキズがついた場合、引越し業者・施工会社・施主、誰の責任かをめぐって交渉が長引くことがあります。
さらに施工会社が加入している建設工事保険は、基本的に建物本体や工事内容が対象です。
施主の私物である家具・家電まではカバーしていないケースが多く、結果として泣き寝入りになることもあります。
▼元住宅営業マンのひとこと
「キズをつけたのは引越し業者か、それとも残工事の職人か」という話になると、誰も認めないまま終わることがあります。
引渡し前はその調整が特に難しい。
3つに共通する構造|グレーゾーンの怖さ
盗難・火災・キズ、どれも根っこは同じです。
引渡し前は施主の所有物件としての法的保護が十分に及ばないグレーゾーン。
何か起きても、施工会社の工事保険も施主の火災保険も対象外になるケースが多く、担当者の善意と注意力に頼った対応になりがちです。
私があの日立ち会ったのも、結局は「何もなかった」という結果が後からついてきただけ。
保証された安全ではありませんでした。
もう一つの落とし穴|引渡し日の「即日引越し」も危ない
引渡し前の搬入と同様に、現場でよく驚かされたことがあります。
引渡し当日に「今日から引越しします」という施主が、時々いるのです。
気持ちはわかります。
新居への期待で早く入りたい、退去日と入居日を同じにすれば費用も節約できる。
しかし引渡しは、検査・書類確認・鍵の受け渡しと手順があり、何らかの理由でずれることがあります。
もし引渡しが翌日以降にずれ込んだとき、すでに退去済みであれば、その夜に住む場所がなくなります。
▼元住宅営業マンのひとこと
この経験から、私は施主には早めに確認するようにしていました。
「引越し日はいつですか」「退去日と引渡し日は余裕を持たせてますか」と。
何度か「今日から引越しです」と聞いて、ヒヤリとしたことがあります。
◆「施主検査」関連記事はこちらからどうぞ
教訓|引渡し日前後のスケジュールに余裕を持つ
今回の話をまとめると、
施主側に意識してほしいことは2点です。
ひとつ目:荷物の搬入・引越しの予約は、引渡し日が書面で確定してから動かすこと。
口頭で聞いた日付を信じて予約を入れると、今回のように変更できない状況に追い込まれます。
担当者のミスで日程が変わっても、業者の予約変更が効かないとなれば、グレーゾーンの対応を飲むしかなくなります。
引渡し日は必ず書面(工程表・引渡し確認書など)で確認してから、搬入・引越し業者の予約を入れてください。
ふたつ目:引渡し日の前後、どちらにも余裕を持たせること。
引渡し前の搬入も、引渡し日の即日退去も、何かひとつ狂えば大きなトラブルに直結します。
住宅会社の都合でスケジュールが変わることは珍しくありません。
だからこそ施主側が余裕を持って動くことが、自分を守る一番の方法です。
◆「引渡し直前に階段の色が違った話」はこちらから
▼元住宅営業マンのひとこと
「日柄がいいから変えたくない」という気持ちはよくわかります。
でも、その一日のこだわりで工事保険も火災保険も効かないグレーゾーンに踏み込むのは、リスクに見合いません。
引渡し後に良い日を選んで家具を搬入する、それだけで全部解決します。
「本記事は情報提供を目的としており、法律・保険の専門的アドバイスではありません。個別の状況については専門家にご相談ください」→ 免責事項はこちら
家づくりは正解が一つではありません。
本記事の内容が、後悔のない判断をするための参考になれば幸いです。
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ここまで読んで頂きありがとうございました。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ





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