こんにちは。
元住宅営業マンまめおやじです。
住宅業界歴34年・宅建士・FP資格保有。元住宅営業マンだからこそ話せる業界の裏側を包み隠さず解説します。
「他社より○○万円安かったから決めた」
家づくりの相談を受けていると、こんな話をよく聞きます。
でも少し立ち止まって考えてほしいのです。その見積もり、本当に同じ条件で比べていましたか?
省令準耐火構造が入っているかどうか。たったこれだけで、建物コストも火災保険料も大きく変わります。
知らずに安い見積もりを選んだ結果、あとから損をしたお客様を、私は何人も見てきました。
この記事では、
省令準耐火を意図的に外して安く見せる会社の仕組み、知識不足の営業マン、そして比較軸を持てない施主側の問題、この3つが重なって起きるトラブルを解説します。
こんな人におすすめ
・複数の住宅会社に見積もりを依頼している、またはこれから依頼しようとしている方
・なぜ会社によってこんなに見積もり金額が違うのか不思議に思っている方
・省令準耐火という言葉を初めて聞いた方
・火災保険料を少しでも安く抑えたいと考えている方
・住宅会社の営業トークに流されず、自分で判断できるようになりたい方
結論
- 省令準耐火構造とは何かを理解する
- 省令準耐火構造で見積比較する
- 火災保険の見積する
省令準耐火構造の仕組みを理解したうえで、
迷っている場合は、検討している住宅会社に追加見積もりを出してもらい、その金額と、H構造からT構造になった場合の火災保険料の試算を参考にしてください。
一般的な目安の金額ではなく、自社の実額で判断することが重要です。
すでに省令準耐火にすると決めている場合は、他社との見積もり比較は必ず同条件(省令準耐火あり)で揃え、火災保険料も自分でシミュレーターを使って試算しましょう。
ただし火災保険は保険会社によっても補償内容や保険料が変わるため、しっかり比較することをおすすめします。最終的に判断しましょう。
省令準耐火構造とは?
省令準耐火構造とは、国土交通省の省令(住宅金融支援機構が定める技術基準)に基づいた、火災に強い木造住宅の建て方のことです。
通常の木造住宅よりも壁や天井の内側に厚い石膏ボードを使い、火が構造体に届くまでの時間を長くすることで、延焼を遅らせる仕組みになっています。
火災保険では建物の構造によって保険料が変わります。
木造は燃えやすいためH構造として高い保険料が設定されますが、省令準耐火構造の木造住宅はT構造として扱われます。これにより、火災保険料が大幅に安くなります。
簡単に言うと、「木造だけど、燃えにくい造りと認められた家」です。
主に以下の条件を満たすことで認定されます。
- 外壁・軒裏を防火構造にすること
- 屋根を不燃材料で仕上げること
- 壁・柱・床・梁などの主要部分を石膏ボード等で被覆すること
が求めらます。
多くの大手ハウスメーカーは省令準耐火構造を標準仕様としていますが、
中小ビルダーやローコスト系ではオプション扱い、あるいは説明すらされないケースが少なくありません。
省令準耐火にするとコストはいくら上がるか
省令準耐火構造を採用するためには、石膏ボードのグレードアップや施工手間の増加が伴います。
具体的には壁・天井内部の仕上げ材を厚くするため、材料費と工賃の両方が上がります。
追加コストの目安は住宅会社によりますが、一般的には120㎡(約36坪)20万円〜50万円程度です(建物規模・仕様により異なります)
一見すると余分なコストに見えます。
しかし後述する火災保険料の差を考えると、長い目で見たときに省令準耐火ありのほうが得になるケースもあります。
坪単価だけを見ていると、この省令準耐火の有無という重要な差が見えなくなります。
坪単価の罠については下記の記事でも詳しく解説しています。
◆関連記事:坪単価が安いから安心は危険
なぜ省令準耐火を入れない会社があるのか
理由は大きく3つあります。
ひとつ目は、見積もりを安く見せるためです。
省令準耐火を外せばその分コストが下がり、競合と比べたときに有利に見えます。
施主が省令準耐火の有無を知らなければ、単純に安い会社だという印象を与えることができます。
ふたつ目は、営業マン自身が正確に理解していないケースです。
省令準耐火の仕組みや保険料への影響を十分に説明できない担当者は一定数います。
「うちは標準仕様です」と言いながら、実際に何が含まれているかを把握していないケースです。
三つ目が、住宅紹介会社が保険を扱っている場合の構造的な問題です。
住宅紹介会社の中には、火災保険の販売も手掛けているところがあります。
建物が省令準耐火なしのH構造であれば、火災保険料はT構造より高くなります。
つまり、建物を安く見せて成約につなげ、保険料は高く取るという流れで、二重に利益を得られる仕組みになっているのです。※一般的にはネット保険の方が保険料は安い傾向にあります。
見積もりが出てこない背景には、こうした営業側の事情もあります。
◆関連記事:見積もりをなかなか出さない住宅営業マンの本当の理由
まめおやじが現場で見てきたこと
私は営業マン時代、競合他社との相見積もりになるならないに限らず、必ずお客様に省令準耐火の話をしていました。
自社は全棟標準採用していたからです。
競合が大手の場合はお互い省令準耐火ありなので問題になりませんが、
中小ビルダーや地場の工務店と比べる場面では、省令準耐火が入っていないケースが多くありました。
そのことをお客様に説明すると、反応は大きく2つに分かれました。
「省令準耐火って何ですか?」と聞いてきたお客様は、話を聞いてくれました。
その後、省令準耐火を追加した場合の金額を競合に確認したところ、後日「○○万円アップしたと言われました」という連絡が入ってくることが何度もありました。
一方、「でもやっぱり安いほうが…」と金額だけを見てその場で断りになったお客様は、最後まで話を聞いてもらえませんでした。
こういう方は省令準耐火なしの家を建てた可能性が高く、今も火災保険料を余分に払い続けているかもしれません。
知っていたかどうか、それだけで結果が変わる話です。
火災保険料はどう変わるか
火災保険の料率は建物の構造区分によって決まります。
木造(H構造)と省令準耐火木造(T構造)では、同じ建物規模・補償内容でも保険料に大きな差が出ます。
価格ドットコム 火災保険の比較・相場で計算
◆条件
- 建築地:東京都
- 建物金額:3500万 持ち家戸建て
- 保険期間:5年一括払い
- 家財保険:あり・1000万
- 地震保険:あり
- 補償内容:全て選択
◆結果※2026年7月7日時点
- H構造最安:595,474円(ジェイアイ傷害火災)
- T構造最安:388,071円(ソニー損保)
試算によると、30年間住むとした場合、6回分の保険契約で累計124万円以上の差になるケースもあります。
これはネット保険の試算ですので、一般の保険会社ではさらに高額になるケースが多いです。
火災保険は年々保険金額が上がってますし、隣家からのもらい火等の火災リスクを大幅に軽減できますので、まずは見積をとりましょう。
省令準耐火の追加コストと保険料の節約額、火災軽減リスク(金額算定はできませんが)を長期で比べて、判断しましょう。
火災保険の選び方全般については、こちらの記事も参考にしてください。
◆関連記事:火災保険は入っていれば安心?選び方を間違えると損する
見積もりを正しく比較するために
複数社の見積もりを比べるとき、金額だけを見ても意味がありません。
省令準耐火の有無という条件が揃っていなければ、まったく別のものを比較していることになります。
確認すべき点は以下の3つです。
見積書に「省令準耐火構造」の記載があるかどうかを必ず確認してください。記載がない場合は採用されていない可能性が高いです。
記載がない場合は営業マンに直接「省令準耐火は入っていますか?」と聞いてください。答えを濁す、あるいは説明できない場合は注意が必要です。
省令準耐火を追加した場合の金額を出してもらい、そのうえで他社と総額比較してください。そうして初めて、本当の意味での価格比較ができます。
相見積もりの正しい取り方については、こちらの記事も参考にしてください。
◆関連記事:住宅の相見積もりで騙されない方法
まとめ
省令準耐火を入れない会社の見積もりが安く見えるのは、当然です。コストを省いているのだから。
問題は、それを知らずに「安い」と判断してしまうことです。
建物コストの差だけでなく、火災保険料として毎年の支出が増え続けることと火災リスクを考えると、長期的には大きな損になる可能性があります。
会社の意図・営業マンの知識不足・施主の比較軸のなさ、この3つが重なって損をするのは常にお客様です。
見積もりを比べる前に、まず「省令準耐火は入っていますか?」のひと言を確認する習慣をつけてください。
それだけで、騙されるリスクは大きく下がります。
「本記事は情報提供を目的としており、税務・法律の専門的アドバイスではありません。個別の状況については専門家にご相談ください」→ [免責事項はこちら]
家づくりは正解が一つではありません。
本記事の内容が、後悔のない判断をするための参考になれば幸いです。
筆者の考え方や立ち位置については当ブログについてにまとめています。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。





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