元住宅営業マンとして約34年間、ハウスメーカー・工務店・不動産開発の現場に携わってきました。
本記事は、営業現場と自宅建築の両方を経験した筆者が、実務経験に基づき家づくりに関する判断材料となる情報を提供することを主な目的としています。
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こんにちは。
元住宅営業マンまめおやじです。
20代後半、営業6年目の頃。
初めて「シングルマザー」のお客様を担当することになりました。
30代前半の女性、小学1年生の男の子。 公務員として働きながら、息子のために家を建てたいと来場されました。
正直に言います。 当時の私は、かなり戸惑いました。
独身の若い営業マン×シングルマザーのお客様。 この組み合わせは、想像以上に難しかったのです。
「親切にしすぎると、勘違いされないか?」 「でも、不親切では契約にならない」 「お子さんとは、どう接すればいい?」
距離感に悩み、言葉選びに悩み。 毎回の打ち合わせが、緊張の連続でした。
この記事では、若き日の私が経験したシングルマザーの家づくりを、正直に、包み隠さずお話しします。
- シングルマザーで家を建てることを検討している
- 方 離婚後の住まいを考えている方
- シングルマザーの住宅ローンについて知りたい方
- 住宅営業マンの本音を知りたい方
- シングルマザーの家づくりのリアルな実例を知りたい方


1. 初めてのシングルマザーのお客様|30代女性、小1の息子

ある休日の来場
それは、日曜日の午後でした。
展示場に、一組の親子が来場されました。
30代前半くらいの女性と、小学校低学年くらいの男の子。
「こんにちは、見学させてください」
落ち着いた雰囲気の方でした。
アンケート記入で判明
モデルハウスを案内した後、アンケートを記入していただきました。
家族構成:母、子(小1・男子)
「あ、シングルマザーの方だな」
私は、その瞬間に少し緊張しました。
当時の私は営業6年目。 それまで、シングルマザーのお客様を担当したことはありませんでした。
公務員という安定

「お仕事は何をされていますか?」
「公務員です」
これは、非常に重要な情報でした。
公務員=安定収入。 住宅ローンの審査でも、有利に働きます。
息子さんのために
「なぜ家を建てようと思われたんですか?」
私の質問に、彼女はこう答えました。
「息子が小学校に上がったので」 「ずっと賃貸でしたが、自分の家が欲しいと思いました」
その言葉には、母としての強い意志が感じられました。
正直な第一印象

ここで正直に言います。
彼女は、結構な美人さんでした。
落ち着いた雰囲気で、清潔感があり。 話し方も丁寧で、好印象でした。
「これは…距離感に気をつけないと」
私は、その時から少し緊張していました。
20代後半の独身営業マンにとって、シングルマザーのお客様は正直難しいです。
変な勘違いをされないよう、でも不親切にならないよう。その塩梅が本当に難しい。
2. 距離感という見えない壁|20代独身営業マンの戸惑い

上司への報告
初回接客の翌日、私は上司に報告しました。
「昨日、シングルマザーの方が来場されました」 「本気度は高そうです」
上司は、少し考えてからこう言いました。
「お前、初めてか?シングルマザーの担当」
「はい、初めてです」
「気をつけろよ。距離感が難しいぞ」
その言葉が、私の不安を増幅させました。
何が難しいのか
上司が言う「距離感」とは、具体的に何なのか。
独身営業マン×シングルマザーの難しさ
- 親切にしすぎると、勘違いされる可能性
- かといって、不親切では契約にならない
- プライベートな話題(離婚理由など)には触れにくい
- お子さんとの接し方も難しい
- 打ち合わせの時間帯(夜は避けるべき?)
考えれば考えるほど、難しく感じました。
2回目の打ち合わせ

2回目の打ち合わせ。 彼女は息子さんを連れてきました。
「こんにちは」
息子さんは、少し人見知りな様子。 私の後ろに隠れるように、お母さんにくっついていました。
「こんにちは、○○くん」
私は、なるべく自然に声をかけました。
でも、内心では悩んでいました。
「お子さんと、どこまで仲良くなっていいんだろう?」 「仲良くなりすぎると、お母さんが警戒するかもしれない」
意識的に距離を置く
結論として、私はこう決めました。
接客方針
- 必要以上に親しくしない
- でも、不親切にならない程度に丁寧に
- お子さんには距離を置いて接する
- プライベートな質問はしない
- 打ち合わせは明るい時間帯のみ
今思えば、かなり神経質になっていたと思います。
お子さんとの接し方
特に悩んだのが、息子さんとの接し方でした。
通常、お子さんが来場されると、営業マンは積極的に仲良くなろうとします。 お子さんが懐けば、親御さんも安心するからです。
でも、シングルマザーの場合は…
「仲良くなりすぎると、変な誤解を生むかもしれない」
そう考えて、私は意識的に距離を置きました。
必要最低限の声がけ。 無理に会話をしようとしない。
今思えば、それが正解だったのか分かりません。
言葉選びの難しさ
打ち合わせ中も、言葉選びに気を使いました。
例えば、間取りの話。
「お子さんの部屋は、将来のことも考えて…」
この「将来」という言葉。
もし彼女が再婚する可能性があるなら? 家族構成が変わる可能性があるなら?
でも、そんなことは聞けない。
だから、曖昧な言い方しかできませんでした。
独身の若い営業マンにとって、シングルマザーの担当は本当に気を使います。
今だから言えますが、当時は毎回の打ち合わせが緊張の連続でした。
3. 堅実な資金計画|自己資金800万円の安心感

資金計画のヒアリング
3回目の打ち合わせで、資金計画の話になりました。
「予算はどれくらいをお考えですか?」
「総額で3500万円くらいを考えています」
「自己資金はどれくらいご用意できますか?」
「800万円は出せます」
私は、内心驚きました。
当時としては多い自己資金
当時(30年以上前)の3500万円の家で、自己資金800万円。
自己資金の割合:約23%
これは、かなり多い方でした。
通常、自己資金は総額の10〜15%程度。 彼女は、その倍近くを用意していたのです。
堅実な生活
「800万円、どうやって貯められたんですか?」
失礼かもしれないと思いつつ、私は聞きました。
「公務員なので、給料は安定していますから」 「それに、無駄遣いはしない方なので」
彼女の答えは、シンプルでした。
シングルマザーとして、息子を育てながら。 それでも、800万円を貯金できた。
その堅実さに、私は尊敬の念を抱きました。
住宅ローンは共済組合
「住宅ローンは、どちらをお考えですか?」
「共済組合で借りる予定です」
公務員の特権、共済組合の住宅ローン。
共済組合のメリット
- 金利が低い
- 審査が通りやすい
- 手続きが簡単
彼女にとって、これ以上ない条件でした。
※当時は銀行ローンより割安に、手数料もなく借入できるものでした。
養育費の扱い
住宅ローンの審査で、よく問題になるのが「養育費」の扱い。
元夫からの養育費を、収入として認めてもらえるか。 これは、金融機関によって対応が異なります。
「養育費は、もらっていますか?」
この質問をするのは、正直躊躇しました。 デリケートな話題だからです。
「いえ、もらっていません」
彼女は、淡々と答えました。
「ですから、私の収入だけで借りる予定です」
その言葉に、彼女の自立心の強さを感じました。
無理のない返済計画
月々の返済額を計算しました。
返済計画
- 借入額:2700万円(3500万円−800万円)
- 返済期間:30年
- 金利:約2%(当時の共済組合金利)
- 月々返済額:約5.8万円
- ボーナス返済額:25万/回
公務員の収入なら、十分に返済可能な金額です。
「無理のない計画ですね」
私がそう言うと、彼女はこう答えました。
「息子のためですから」 「無理はしたくないんです」
その言葉が、印象に残っています。
シングルマザーの住宅ローンで重要なのは、「無理のない返済計画」です。
彼女は、その点を非常によく理解していました。
4. 契約前の2週間の空白|遠方の親戚に相談

契約直前の変化
打ち合わせを重ね、間取りも決まり。 いよいよ契約という段階になりました。
「来週末、契約書を持参します」
私がそう伝えると、彼女は少し考えてから言いました。
「すみません、少し時間をください」
「何か、問題がありますか?」
「いえ、ちょっと相談したい人がいるので」
上司からのアドバイス

彼女が帰った後、私は上司に報告しました。
「契約直前で、『相談したい』と言われました」
上司は、すぐにこう言いました。
「ああ、来たか」 「シングルマザーは、必ず誰かに相談するぞ」
「え、そうなんですか?」
「当たり前だろ。一人で決められるわけがない」 「特に、大きな買い物だからな」
「男性」に相談する
上司は続けました。
「おそらく、男性の親戚か知人に相談するはずだ」 「父親、兄弟、叔父、従兄弟…誰かしら」
「なぜ、男性なんですか?」
「家を建てるって、専門的な話が多いだろ?」 「女性だけで判断するのは不安なんだよ」 「だから、信頼できる男性に相談する」
その説明を聞いて、私は納得しました。
2週間の空白
「しばらく連絡を控えろ」
上司は、そうアドバイスしました。
「え、でもフォローしないと…」
「いや、今は相手に任せろ」 「下手に連絡すると、逆効果だ」
その言葉に従い、私は連絡を控えました。
2週間。
正直、不安でした。
「他社に流れたらどうしよう」 「契約、ダメになったかも」
毎日、そんなことを考えていました。
2週間後の連絡

2週間後。
彼女から電話がありました。
「まめおやじさん、お待たせしました」
その声は、明るかったです。
「遠方の親戚に相談してきました」 「大丈夫だと言ってもらえたので、契約お願いします」
私は、心底ホッとしました。
誰に相談したのか
後日、彼女は教えてくれました。
「実は、遠方の叔父に相談したんです」 「建築関係の仕事をしている人で」 「図面を見てもらって、アドバイスをもらいました」
やはり、「男性」に相談していたのです。
「叔父さん、何か指摘はありましたか?」
「いえ、特に問題ないと言われました」 「むしろ、この値段でこの内容なら良い方だと」
その言葉を聞いて、私は安心しました。
上司の言葉の意味
上司の言葉が、ようやく理解できました。
シングルマザーが契約前に相談する理由
- 一人で大きな決断をするのは不安
- 専門的な判断ができる人に確認したい
- 「大丈夫」と言ってもらいたい
- 万が一失敗した時の責任を分散したい
これは、彼女が慎重なのではなく、当然のことでした。
シングルマザーの契約は、時間がかかることを理解すべきです。
焦らず、相手のペースに合わせることが重要でした。
【前編のまとめ】距離感に悩んだ契約までの道のり
ここまで、契約までの経緯をお話ししました。
前編のポイント
- 20代独身営業マン×30代シングルマザーの難しい組み合わせ
- 距離感に悩み、言葉選びに悩んだ日々
- 堅実な資金計画(自己資金800万円)
- 契約前の2週間の空白(遠方の親戚に相談)
正直、私は毎回の打ち合わせで緊張していました。
「これで良かったのか」 「もっと親身になるべきだったのか」
そんな自問自答の連続でした。
後編では…
- 企画住宅という選択
- 打ち合わせ、工事、引き渡しまで
- トラブルゼロだった理由
- 引き渡し後のこと
- シングルマザーの家づくり成功の秘訣
- この経験で学んだこと
若き営業マンの家づくりは、どう完結するのか?
後編に続きます!
👉 後編はこちら:【実話・後編】シングルマザーの家づくり完結編|トラブルゼロだった理由
家づくりは正解が一つではありません。
本記事の内容が、後悔のない判断をするための参考になれば幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ


筆者の考え方や立ち位置については当ブログについて
にまとめています。

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