こんにちは。元住宅営業マンまめおやじです。
遠方に家を建てるとき、施主様にとっても住宅会社にとっても不安がつきものです。親御さんの意向や、資金計画の行き違い、打ち合わせ不足によるトラブル……。実際の現場で起こったリアルなエピソードから、遠方での家づくりをスムーズに進めるための教訓をお伝えします。
- 住所と建築地が多い人
- 将来、田舎に帰って家を建てようと思っている
- 現役の営業マン
大手メーカーの在籍時、拠点が全国にあったので、こちらのお客様が遠方で建てる、遠方のお客様がこちらで建てる事が時々ありました。

エピソード①【奥様のお父様の地元のこちらで建てる】
契約までは遠方の支店が担当。契約が決まって何度か出張し、打合せをした。
順調にすすんでいたが、奥様いわく、お父様が大変厳しい方との事前情報あり。
事前に挨拶させていただいたが、事前情報どおり、厳しそうな雰囲気。
お父様は会社の社長様。ザ昭和って感じの方。
地鎮祭はお父様手配ということだったので、現場監督と一緒に参加だけすればいいと思っていた。
会社へお父様から電話が。
来客中だったので、その後、折り返すと、不在とのこと。
しばらくしてかかってきた。携帯がない時代。
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「何で電話にでないんだ!」
「すいません、来客中でした。。」
「何をやってるんだ!」
「?」
「打合せをしないくていいのか!!」
「何の打合せでしょうか?」
「バカかおまえは!地鎮祭に決まっとるやろ!椅子とかテーブルとかどうするんだ?」
「ウチ手配ではないので、用意していませんが。。」
「バカかお前は! そんなものは建築業者が用意するものだ!常識だろ!!そんなこともわからんのか!」
「机椅子は手配します。。。」
「とりあえず、こっちへこい!」会社へ呼び出し。
結局、施主様手配の神主がどこまで用意してくれるか、お父様も未確認だったので、後日連絡頂き、ご指示のものをこちらで手配することに。
地鎮祭は施主手配と聞いたとき、内容をしっかり確認すべきでした。
地鎮祭はとどこおりなく終り、お父様も上機嫌。その後の関係は良好。現場や仕上がりについて、口を出すことはありませんでした。
地鎮祭については若夫婦はお父様まかせでノータッチ。お父様と私がもっと早めに打合せをしておくべきでした。
施主手配だからと言って、何か用意するものはないか、とこちらから先に聞いておけば、お怒りを買うことはなかったでしょう。
今後の教訓となり、その後、施主手配地鎮祭でもめることはありませんでした。
その後無事着工したある日。
上棟金の請求で若夫婦へ「つなぎ融資」の連絡をしたところ、旦那が大激怒。
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「つなぎ融資のことなんか聞いてない!。そんな金利負担なんかできるか!」
何度も説明したんだけど。。
※つなぎ融資とはこちらへ
当時の住宅ローンは住宅金融公庫(※現:フラット35)が主流でした。
融資は建物完成後になります。
住宅会社への支払いは着工や上棟時に50%や75%となっているので、不足分について、短期融資、つまり、つなぎ融資を組むことになります。
融資実行時と同時に返済し、その期間の金利を日割りで負担するというものです。
当然、契約前、契約時に説明をしていますし、資金計画書にも含んでいます。
※フラット35(旧:住宅金融公庫)。最近は、着工や上棟時期に融資金の70%まで先に融資してくれる民間銀行がふえてます。
「今から乗り込むぞ!」なんて言われました。
結局のりこんで来ませんでしたが、旦那もキレキレでした。
改めて、昼間に奥様へ連絡したところ、奥様は理解されていて、旦那に説明しておくとのことでした。
当時、契約から着工までが長く、便宜上、つなぎ融資の書類は先に頂くのが習慣となっていました。
契約時、説明して書類をもらうのですが、そんなの忘れてしまいますよね。打合せすることも山ほどありますし。
距離があると、必要以上に不安になってしまうようです。
着工したら、基本は現場監督が工事の進捗で連絡をするのですが、営業からの連絡回数を増やしてまめに連絡をとるべきでした。
特に、遠方の場合は、何か不安なことはありますせんか?と先に連絡を入れることでトラブルを防ぐことができます。
細かい不安の種が重なって、大きなトラブルに発展することがあります。
今回はこの件以来、意識して、奥様と連絡を取るようにして、無事引渡しを迎えることができました。
大激怒の旦那さんとは、最後まで関係修復はできませんでした。
悪かったな、と思っています。
教訓①
- 距離があると、お客様が不安になる。
- 親がらみの地鎮祭上棟は気をつけて
- 着工後、設計や現場監督まかせにしない
- 用事がなくても連絡する、もしくは決まった曜日に連絡する
- できれば、会いにいく
エピソード②【定年後の家を建てる】
ご年配の夫婦。子供たちも巣立ち、定年を機に家を建てるとのこと。
既に土地は購入済。
他県にお住まいで、まめおやじの住宅会社の家に長年住んでいた。
他県の支店に相談があり、無競合ですんなり契約に。
詳細打合せはこちらへきてもらった。一日かけて大枠は固まった。
それをベースに照明カーテン等のインテリア、外構プランを郵送で送り、電話でやりとり。
エアコンは全室取り付けがご希望。ご自身で購入した方が安いですよ、とも伝えたが、全室注文頂いた。
一式を郵送し、到着確認の電話を「届いてますでしょうか」
「ああ、届いたよ。これですすめてよ」
「? あくまで案なので、ご希望頂いて修正しますよ」
「君たちが良いと思って提案したんだろ。なら、それでいいよ。素人が変に口出ししてもあれだし」
全て1回の提案で決まってしまった。追加契約書を送ってくれ、とのこと。
引越し日のみ指定された。確実に大丈夫な工程ではあった。
何も問題はない。
地鎮祭も上棟もなし。一回も現場に見にこない。さりげなく聞いたら、建築途中を見てももわからないだろ、との返事。
ほんとに見に来ないのか。知り合いが近くにいるんじゃないか。とも思った。
こちらが不安になる。
工事は順調にすすむ。
現場からはどういう施主だ?見に来ないのか?と聞かれる。
なぜか現場に緊張感があった。
完成してこれが違うとか言われたら、マズい。はたから見て、各担当が緊張した仕事をした。よい意味で。
珍しく電話が入った。なんだろう。
見に来るのかな?
「大事な事言っておくけど、引越し当日、暑いからエアコンつけといてね」
引渡し前になり、現場監督はいつもより入念に建具調整や細かいキズやクロスのりの補修。
設計インテリアも動作確認や、最終チェック。
いい仕上げだった。
予定より早く、最終金が振込され、そして、引渡しの日を迎えた。
8月の午後の引渡し。
エアコンをかけ家の中を冷やしておく。
引越しのトラックとともにやってきた。
引渡しのサインをする前にいきなり荷物を入れ始めた。
家の中を確認したり、チェックしたりする様子はない。
家に興味がないのか?
現場監督があわてて引渡しのサインをもらう。
「引越しで忙しいからもういいよ。世話になったね。ありがとう。」笑顔の施主。
心配なので、3日後、再訪問。
少々のキズの補修依頼を受けて、快適だよ、とのお言葉を頂き、そこでほっとした。
教訓②
- お任せされるといい意味で大変
- お任せされるといい仕事ができる
- 信用、信頼があると任せてもらえる
まとめ
経験上、家を建てる人はものすごく不安になります。
人生の中で最大の買物といっても良いくらいです。
住宅に関する情報は、ネット上にあふれています。
情報が多すぎると、混乱したり、不安になったりします。
極端な情報や誤った情報もあります。
住宅は基本的に営業、設計、建築に分かれています。
営業の仕事は注文を取ること、設計の仕事は内容を確定し、許認可や発注すること、建築はそれを実際に施工して完成させることです。
3つともすべて一人で担当することは、スキルも経験も大変難しいです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
あなたにとって良い一日を~まめおやじ

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