こんにちは。元住宅営業マンまめおやじです。
注文住宅の打ち合わせが進んでいく中で、どうしても気になるのが「価格交渉」。
高い買い物だからこそ、「少しでも安くしたい」「何かサービスしてもらえないかな…」と思うのは当然ですよね。
でも、住宅の価格交渉はやり方を間違えると、信頼関係が崩れたり、かえって損をすることもあります。
本記事では、元住宅営業マンとして実際に対応してきた体験をもとに、住宅の価格交渉のコツ・タイミング・裏事情までリアルに解説します!
- 注文住宅をこれから契約する予定の方
- 営業マンと価格の話をどう切り出せばいいか悩んでいる方
- 値引き交渉ってどこまでできるの?と疑問を持っている方
- 価格交渉で失敗したくない方


1. 価格交渉の種類

■ポイント(価格交渉の代表的な種類)
- 本体価格の値引き交渉
- サービス工事の追加交渉
- オプション費用の値引き
- セット割引の提案
- 他社比較による条件交渉
■それぞれカンタン解説
1.本体価格の値引き交渉
いちばんオーソドックスな交渉方法です。
たとえば「2,950万円を2,900万円にしてもらえませんか?」というような、直接的な金額の値下げ交渉です。
ただし、値引きには限度があり、利益が圧迫されるため、慎重に話す必要があります。
2.サービス工事の追加交渉
金額を下げるのではなく、「見積にはいっていないタッチ水栓」「外構の一部を無料にしてもらう」など、工事内容の追加で実質的な値引きになる交渉です。
営業マンとしても提案しやすいため、成功率は高めです。
3.オプション費用の値引き
キッチンのグレードアップや照明のダウンライトなど、オプションの費用を一部サービスしてもらう方法です。
例えば、30万円するオプションを15万円にしてもらう、というもの。
見た目の印象アップにもつながるため、満足度が高い交渉方法です。
4.セット割引の提案
「太陽光+蓄電池セット」「床暖房+エアコン一括」など、まとめて発注することで割安にしてもらう交渉です。
複数の設備や工事を一緒に依頼することで、業者側も仕入れコストを下げやすくなります。
5.他社比較による条件交渉
「他のハウスメーカーではここまでしてくれました」と他社の条件を材料にして交渉する方法です。
ただし、ウソや大げさな比較は逆効果なので、正直な情報で行いましょう。
■元住宅営業マンのひとこと

正直に言うと、「値引きしてくれますか?」と単純に聞かれるよりも、
「この設備つけてくれたら契約したいんです」と前向きな姿勢を見せてくれるお客様のほうが交渉しやすいです。
また、他社と比較していることを伝えられると、営業としても「これは負けられない」とやる気が出るので、交渉材料を持っている方は強いと感じていました。
2. 価格交渉の注意点

■ポイント
- 注文住宅は「定価がない」ため、交渉の余地がある
- 値引き前提だと、最初から価格を上乗せされることも
- 交渉の仕方次第で、対応が変わる可能性も
■それぞれカンタン解説
1.注文住宅は「定価がない」ため、交渉の余地がある
注文住宅は、車や家電のように「カタログ通りの価格」というものがなく、土地・建物・設備の組み合わせ次第で金額が決まります。
そのため、営業マンによって最初の提示額に差があることも。
2.値引き前提だと、最初から価格を上乗せされることも
「最終的に値引きされるだろう」と思っている人が多いため、あらかじめ高めの金額を提示する営業マンもいます。
結果として、値引きされたように見えて、実はそこまで安くなっていないケースもあるので要注意です。
3.交渉の仕方次第で、対応が変わる可能性も
無理な値引き要求や威圧的な態度だと、営業側も協力しにくくなります。
「この人のために頑張りたい」と思わせることが、実は一番の交渉術だったりします。
■元住宅営業マンのひとこと

「いくらまで値引きできますか?」といきなり聞かれると、正直なところ、身構えてしまいます。
大切なのは、“交渉の仕方”。こちらも人間なので、「信頼してくれてるな」と感じるお客様には、できる限り良い条件を出したくなります。
3. 価格交渉のタイミングはいつ?

■結論:契約直前と決算月が狙い目!
■カンタン解説
● 契約直前が最大のチャンス
営業マンにとって、契約は最重要ミッション。その直前での交渉は、「あとひと押しで決まる!」というプレッシャーがあるため、柔軟に対応してもらえる可能性が高いです。
● 決算月(3月・9月)は特に狙い目
会社の数字を整えるために、「あと1件でも契約を取りたい!」という時期があります。
この時期は、多少の無理をしてでも契約を取りたいと考える営業マンが多く、好条件が出やすいです。
※決算月は会社によって違います。
● 逆に、初回相談や見積もり段階では交渉しすぎない
まだ信頼関係もできていないうちに強く交渉してしまうと、「この人とは難しいかも」と思われてしまう可能性もあるので注意しましょう。
■元住宅営業マンのひとこと

交渉は、「買う気がある」と伝わるタイミングで行うのが効果的です。
「ここで決めてもいいんだけど、もう一声ほしいな」という雰囲気があると、営業マンも社内を説得してくれます。
逆に、初対面から値引き交渉ばかりされると、心の中で「この人は冷やかしかな」と疑ってしまってました…。
4. 良い価格交渉のやり方

■ポイント
- 他社の見積もり条件を正直に伝える
- 「〇〇してくれたら契約する」と具体的に話す
- 要望だけでなく、誠意ある態度で相談する
■それぞれカンタン解説
1.他社の見積もり条件を正直に伝える
「他の会社ではここまで安くなった」「オプションが無料だった」など、他社との違いを具体的に伝えると、対応しやすくなります。
ただしウソは逆効果なので注意!
2.「〇〇してくれたら契約する」と具体的に話す
「今週中に決めたい」「この設備が無料になるなら契約したい」など、ゴールを明確にすることで営業側も社内調整しやすくなります。
3.要望だけでなく、誠意ある態度で相談する
一方的な要求ではなく、「できる範囲でいいので…」という柔らかい姿勢が、好条件を引き出すポイントになります。
■元住宅営業マンのひとこと

「●●してくれたら、今日中に決めます」と言われると、本当に社内を走り回って調整してました。
逆に、「無理なら他行くよ」みたいな交渉は、正直気が乗りません…。
営業マンも一緒に家づくりするパートナー。そう思っていただけると、対応は変わってきます!
★「営業マン」についてはこちらの記事もご覧ください。
5. 悪い価格交渉のやり方

■ポイント
- 法外な金額を求める
- 契約する気がないのに値引き要求する
- 他社を引き合いに出しすぎて駆け引きに走る
■それぞれカンタン解説
1.法外な金額を求める
「500万円下げて」など、現実味のない要求は信頼を失います。
営業側も「本気じゃないな」と判断してしまい、その後の対応が消極的に…。
2.契約する気がないのに値引き要求する
比較検討の一環でも、契約の意思が全くない状態での交渉は営業マンに見抜かれます。
結果として、ちゃんと検討していても軽く扱われてしまうリスクも。
3.他社を引き合いに出しすぎて駆け引きに走る
何度も「A社はこうだった、B社はもっと安い」と言い続けると、駆け引き目的だと思われ、誠実さに欠ける印象を与えてしまいます。
■元住宅営業マンのひとこと

「とにかく安くしろ」としか言わない方は、こちらも「この人と家づくりできるかな…」と不安になってました。
価格交渉は信頼関係のうえに成り立つもの。
無理な要求より、「どこまでできるか教えてほしい」と言っていただけると、こちらも全力を出せました。
6. 価格交渉がうまくいかなかったら?

■ポイント
- 間取りを見直してコストダウンする
- オプションを削って予算に近づける
- 値引きではなく「別の提案」を依頼してみる
■カンタン解説
1.間取りを見直してコストダウンする
広さを少し減らしたり、形をシンプルにすることで、予算内に近づけることが可能です。
意外と「1坪減らすだけで●十万円下がる」ことも。
2.オプションを削って予算に近づける
カップボードや宅配ボックス、外構費用などは後付けでも対応可能なことが多いです。
「今は外しておいて、後でつける」判断もアリ。このオプションをやめたら●●万下がるリスト作成を依頼しましょう。
3.値引きではなく「別の提案」を依頼してみる
「金額はそのままでいいので、エアコン1台つけてもらえませんか?」など、価格以外の提案で“実質お得”にできる方法もあります。
モノによっては施主手配という選択肢も。
★「施主手配」についてはこちらの記事もご覧ください。
■元住宅営業マンのひとこと

価格交渉が通らなくても、「何か方法はありますか?」と相談してくれたお客様には、
コストダウン案を一緒に考えたり、社内で別案を持ち帰るなど、できる限りの対応をしていました。
諦めずに「じゃあどうすれば予算に収まるか?」を一緒に考える姿勢が、結果的に満足度の高い家づくりにつながると思います。
7. 価格交渉の内部事情

■ポイント
- 営業マンは値引き権限を持っていないことが多い
- 値引きは営業マンの評価・報酬に影響する
- 仕様を勝手に落として帳尻を合わせることもある
- 利益率によって値引き余地は異なる
■それぞれカンタン解説
1.営業マンは値引き権限を持っていないことが多い
多くの住宅会社では、値引きの最終決定権は上司や本部にあります。
営業マンがその場で「〇万円値引きします」と即答できないのはそのためです。
権限を持っている店長や上席者が同席の場合は権限がある場合があります。
2.値引きは営業マンの評価・報酬に影響する
実は、営業マンの成績=売上×利益率で決まる会社も。
大幅値引きは「成績ダウン」に直結するため、交渉には慎重になるのが本音です。
値引きすると自分の報酬に影響する場合は、見積に上乗せせれている可能性があります。
3.仕様を勝手に落として帳尻を合わせることもある
表面上の値引きをしても、気づかないところでグレードを下げて調整するケースも…。
見積書の内容はしっかり確認しましょう。
4.利益率によって値引き余地は異なる
同じ金額でも、利益率が高いプランのほうが交渉に応じやすいこともあります。
オプションの追加などで利益率が上がると、交渉が通りやすくなる傾向も。
また、30坪とか比較的コンパクトな間取りはあまり値引きしてくれないケースも。
■元住宅営業マンのひとこと

値引きにはいろんな「見えない事情」があります。
営業マンが渋っているように見えても、「できる限りのことはしてあげたい」と思っている人がほとんどなんです。
だからこそ、お互いに信頼できる関係を築いておくことが、価格交渉成功の一番の近道です。
8. 実例紹介

■実例紹介①
大手メーカー時代。顧客から他社の値引きの相談がありました。私の提示した値引きのほぼ倍の値引き提示があったそう。
見積の詳細を見せて頂くと、明らかに高い建物本体価格の数字。
建物本体価格に上乗せして値引き額を大きく見せたかったようです。
■実例紹介②
契約の内諾を頂き、契約当日、さらなる値引き要求がありました。当時私は店長。
もう少し値引きできたのですが、要求を断り、契約はなしに。契約直前の交渉に納得ができませんでした。
「他社も再度比較ください」と帰しました。1か月後連絡があり、契約することに。
他社へいくと値引きの話ばかり出てきて、イヤになった、とのこと。そんなことがありました。
9. まとめ

注文住宅の価格交渉は、ただ「安くして」と言えばいいものではありません。
良い交渉にはタイミングと方法があり、住宅会社側の事情も理解することが大切です。
価格交渉が通らなかったとしても、「じゃあどうしたら予算に近づけるか?」と一緒に考える姿勢が、結果として満足できる家づくりにつながります。
最後にもう一度、交渉で大切なのは「誠実さ」と「信頼関係」。
営業マンを味方につけることが、注文住宅をお得に・後悔なく建てる最大のポイントです!
ここまで読んで頂きありがとうございました。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ


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