【実例】元住宅営業マンのリアル体験|「二世帯住宅」を登記・住宅ローン控除の点からわかりやすく解説します

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こんにちは。元住宅営業マンまめおやじです。

二世帯住宅って、なんだかおトクなイメージがありますよね。

親世帯と助け合いながら暮らせるし、将来的には相続のことも考えられる…

でも実際のところ、「うまくいく家族」と「揉めてしまう家族」がいるのも事実です。

私は住宅営業マンとして多くの二世帯住宅を見てきましたが、うまくいくかどうかは、建てる前の話し合いや暮らし方のルールづくりがカギになります。

本記事では、二世帯住宅の種類やメリット・デメリットをくわしく解説しつつ、実際にあったトラブル例や、私の体験談も交えてご紹介します。

この記事はこんな人におススメ
  • 両親と一緒に住むか悩んでいる人
  • 二世帯住宅のメリット・デメリットを事前に知っておきたい人
  • 完全同居・部分共有・完全分離の違いを比較したい人
  • 住宅ローンや税制優遇など、お金の面も気になる人
  • 失敗しないために、実際の経験談を参考にしたい人

1. 二世帯住宅の種類

一口に「二世帯住宅」といっても、暮らし方のスタイルによって大きく3つに分かれます。

  1. 完全同居型
  2. 部分共有型
  3. 完全分離型

それぞれの違いを簡単に見ていきましょう。

■それぞれカンタン解説

【1.完全同居型】

すべての空間(玄関・水まわり・LDKなど)を共用するスタイルです。

キッチンやお風呂も1つで済むためコストは抑えられますが、プライバシーはほぼゼロになります。

昔ながらの「一つ屋根の下で暮らす」家族像に近いです。

【2.部分共有型】

玄関や水まわりの一部を共有しつつ、生活空間をある程度分けるスタイル。

たとえば玄関は1つで、キッチンやお風呂は2つというケースもあれば、その逆もあります。

お互いの距離感を保ちつつ、コストを抑えたい人向きです。

【3.完全分離型】

玄関も生活空間もすべて分けるスタイル。

まるで「1つの建物に2つの家が入っている」ようなイメージです。

プライバシーを守りやすく、トラブルも少なめですが、建築費やインフラ費用は高くなります。

■それぞれに向いている家庭の特徴

  • 完全同居型が向いている家庭
     → 昔ながらの大家族のように仲が良く、家事や育児・介護を一体で支え合いたい家庭
     → 共働きで祖父母のサポートがありがたいと感じる家庭
     → 建築コストをできるだけ抑えたい家庭
  • 部分共有型が向いている家庭
     → 一定の距離感を保ちつつ、必要なときは協力し合いたい家庭
     → 親世帯と子世帯のライフスタイルが近く、多少の共有も問題ないと感じる家庭
     → 土地や予算にある程度制限があるが、プライバシーも重視したい家庭
  • 完全分離型が向いている家庭
     → 親世帯と子世帯の生活リズムや考え方が大きく異なる家庭
     → プライバシーをしっかり確保し、トラブルを最小限にしたい家庭
     → 将来的に賃貸や売却など、柔軟な活用を考えている家庭

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

「最初は同居前提だったけど、結局トラブルで出て行った」ご家庭もありました。

この3つのスタイルのうち、どれが正解というのはありません。

大切なのは家を建てる前に、生活スタイルやお互いの希望をしっかり共有しておくことです。

2. 完全同居型のメリット

■建築コストが安く済む

最も大きなメリットは、建築コストを抑えられることです。

キッチンや浴室、トイレなどの設備が1セットで済むため、その分の工事費・設備費が節約できます。

また、光熱費も世帯ごとに分ける必要がないため、電気・ガス・水道代も一本化できて管理がラク。

「二世帯にしたいけど予算が厳しい…」という場合には、有力な選択肢になります。

■家事・育児・介護を協力しやすい

生活空間が同じだからこそ、家事や育児、介護で助け合いやすいのも利点です。

たとえば…

  • 親世帯が子育てを手伝える(保育園の送り迎えや食事の準備など)
  • 子世帯が高齢の親の体調にすぐ気づける
  • 家事の分担で負担を軽減できる

このように、日々の支え合いがしやすい環境は、完全同居型の大きな魅力です。

■家族の絆が深まりやすい

おなじ空間で過ごす時間が長くなるため、自然と会話が増え、家族のつながりが深まりやすくなります。

子どもにとっても、祖父母とのふれあいが日常になることで、情緒の安定や思いやりを学ぶ機会にもなります。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

完全同居型は「親子の仲がいいご家庭」にはぴったりなスタイルです。

実際、私が担当した中でも「完全同居にして正解だった!」というお客様は、日ごろからのコミュニケーションがしっかり取れているご家庭でした。

ただし、「なんとなく安く済みそうだから」と安易に選ぶのは要注意。

生活リズムの違いや価値観のズレがストレスに直結する可能性もあるので、建てる前にしっかり話し合うことが大切ですよ。

3. 完全同居型のデメリット

■プライバシーが確保しにくい

玄関もリビングも水まわりも共用になるため、お互いの生活が丸見えになるケースも多く、プライベート空間を保ちにくいです。

たとえば…

  • 友人を家に招きづらい
  • 音や生活音が気になる
  • テレビや照明の好みの違い

など、日常のちょっとした違和感が積み重なることも。

■生活リズムの違いでストレスに

世帯によって起床・就寝時間、食事のタイミング、休日の過ごし方などの生活パターンはさまざまです。

朝早くから洗濯機を回す親世帯」と「夜型の子世帯」がぶつかる…といったストレスが発生しやすいのも事実です。

■生活費の分担が曖昧になりがち

熱費や食費などを一本化して管理する場合、どちらがどれだけ負担しているのかが分かりにくくなることがあります。

後々のトラブルを防ぐためにも、「どこまで共通にするのか」「どう負担を分けるのか」事前に明確にしておきたいポイントです。

■家族関係が悪化するリスクも

距離が近すぎることで、干渉・口出しが増えたり、価値観の違いがあらわになるケースも少なくありません。

「最初はうまくいってたけど、徐々にギクシャクしてきた」という声もよく聞きます。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

「うちは仲が良いから大丈夫」と思っていても、一緒に暮らすと見えてくることがあるのが完全同居です。

実際、完全同居にしてから「思った以上に気をつかう…」という相談は多く寄せられました。

お互いにある程度の「遠慮」と「思いやり」が続けられる関係性が重要です。

4. 部分共有型のメリット

■程よい距離感で生活できる

お互いのプライベート空間を確保しつつ、顔を合わせる機会もある「ちょうどいい距離感」が持てます。

同居の安心感は欲しいけど、生活スタイルは別にしたい…という家庭に最適です。

■建築費を抑えつつ自由な間取りが可能

全分離型ほどのコストはかからず、設備を一部共有することで建築費を節約できます。

また、住宅会社と相談すれば比較的自由度の高い間取り設計も可能です。

■必要なときにサポートし合える

共有部分で自然に顔を合わせる機会があるため、いざというときにすぐ助け合える関係が築けます。

日常は各世帯で完結、でも「何かあったとき」は手が届く。そんなバランスの取れた暮らし方ができます。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

私が見てきた中でも、このスタイルを選ぶ方が最も多かった印象です。

建築費も無理がなく、お互いの気配を感じながらもプライベートを保てる点が、長く暮らすうえで「ちょうどいい」と感じる方が多いのだと思います。

5. 部分共有型のデメリット

■生活習慣の違いによるストレス

キッチン・洗面・廊下などを共用にすると、使う時間帯の違いや清掃頻度などで不満が出やすくなります。

「誰が掃除する?」「使用後の片付けが気になる」など、日常の些細なことが摩擦の原因になりがちです。

■共有スペースのルール作りが必要

共用部分はルールがないとトラブルのもと。

「ゴミ出し」「掃除」「訪問客の扱い」など、あいまいにすると不満が積もる要因になります。

しっかりと家族会議を開き、使用ルールやマナーを共有しておきましょう。

■費用負担のバランスが難しい

例えば、「トイレや洗面所を共用にしたけど、子世帯の使用頻度が高い…」となると、水道代などの費用負担に不公平感が生まれることもあります。

建築段階でメーターを分ける・使用実態に応じた費用案分を話し合うことが大切です。

■プライバシーが完全には守られない

完全分離に比べると、やはり生活音・人の動きが多少伝わりやすいのは事実。

夜中のトイレや会話、テレビの音が気になる人にとっては、ストレスになることもあります。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

実際に、「建てたあとでルール決めをして大揉めになった」ケースも何件かありました。

部分共有型は「設計の工夫」と「家族間の取り決め」が成功のカギです。

設計段階からしっかり「どこを共有するか?」「どう使うか?」を話し合っておくと、満足度がぐんと上がりますよ。

6. 完全分離型のメリット

■プライバシーをしっかり確保できる

玄関も別なので、訪問客や生活リズムの違いを気にする必要がありません。

音の干渉も少なく、お互いの生活が気にならずにストレスフリーな環境を作れます。

■トラブルが起きにくい

生活空間を完全に分けることで、掃除・ルール・来客などに関する摩擦が発生しにくいのが大きなメリットです。

「家族だけど、距離感も大事」と考える方にぴったりです。

■賃貸併用や将来の活用も可能

子世帯が将来独立したり親が他界した後、空いたスペースを賃貸に出すといった活用も可能です。

資産価値としても評価が高く、売却時にもアピールしやすい点も魅力です。

■将来の介護にも対応しやすい

生活空間が完全に分かれていても、距離が近いぶん見守りやすく、いざという時の対応もスムーズです。

将来介護が必要になったときも、「同じ敷地内にいてくれて安心」と感じるご家庭は多いです。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

特に都市部や狭小地では「二世帯+賃貸」や「親世帯を将来賃貸に回す」ようなケースもありました。

最初はコストがかかっても、長期的にはリターンがある選択肢として検討する方も多かったですね。

7. 完全分離型のデメリット

■建築費・設備費が高くなる

すべてを分けるため、キッチン・浴室・トイレ・玄関などが2セット必要になります。

その分、建築費用や固定資産税も高くなる傾向に。

特に狭小地では、それぞれの空間を確保するのが難しい場合もあります。

■「同居のメリット」が得にくくなる

生活が完全に分かれているため、自然に顔を合わせる機会が少なくなりがちです。

「孫とおじいちゃんがほとんど会わない」という声もあり、

せっかくの同居なのに、実は一緒に住んでる実感があまりない…と感じる方も。

■コミュニケーション不足になりやすい

お互い干渉しないぶん、日常会話や情報共有が減ることがあります。

「困っていることに気づけなかった」「孤立していた」などのケースも。

とくに高齢者が一人暮らしに近い状態になると、見守り体制が必要になることもあります。

■固定費のダブル化

電気・水道・ガスなど、すべての契約が別になるため、基本料金が2世帯分発生します。

また、通信費やセキュリティ費用なども世帯ごとに契約するケースがほとんどです。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

「顔を合わせるタイミングがほしい」なら、共用のウッドデッキや庭、定期的に一緒に食事するなど「接点」をつくる設計がオススメですよ。

「別々に暮らす安心感と、同居のサポート感を両立させたい」という理想と現実にギャップが出やすいのが完全分離型です。

8. それぞれの間取りタイプに向いている家庭の特徴まとめ

タイプ向いている家庭の特徴
完全同居型– 生活リズムや価値観が似ている家族
– お互いに遠慮なく協力できる関係
– プライバシーにあまりこだわらない
– コストを最重視したい人
部分共有型– プライバシーも家族のつながりも大事にしたい
– 同居のメリットと距離感を両立したい
– 生活ルールの話し合いができる家族
– 設備費を抑えつつ快適に暮らしたい
完全分離型– プライベート重視で干渉されたくない
– 来客が多い・仕事で在宅時間が異なるなどライフスタイルが違う
– 資産活用も視野に入れたい
– 将来的に世帯分離や賃貸化の可能性を考えている

9. 二世帯住宅の登記とローン控除

二世帯住宅で住宅ローン控除を受けるには、登記の方法や住み方によって適用条件が変わるため、注意が必要です。

ここでは、代表的な登記形式と、それぞれにおける控除のポイントを解説します。

■単独登記

たとえば、親世帯の土地に子世帯が建物を建てて子世帯だけが住宅ローンを組むケース。

この場合は子世帯名義で単独登記を行えば、住宅ローン控除を受けられます。

ただし、実際に住んでいることが条件なので、名義人が別居している場合は対象外になります。

■共有登記

建物を親と子で共同出資して建てる場合は、持分に応じて「共有登記」となります。

このケースでは、それぞれが自分の持分に応じたローンを組んでおり、かつ同居している必要があります。

控除額は持分比率とローンの借入額に制限されるため、事前のシミュレーションが大切です。

■区分登記

建物を物理的に分けて完全分離型にし、1階・2階で別々の住宅として登記する方法です。

この「区分登記」は、マンションのように構造上も独立している必要があるため、設計段階から意識しておかないと後で分けられません。

区分登記ができれば、それぞれが住宅ローン控除を個別に受けられる可能性が高くなります。

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

住宅ローン控除を最大限活用したいなら、登記や設計は“税務”の目線からも考えることがポイントです

「せっかく二世帯住宅を建てるのに、控除が受けられなかった…」という声、実際に何度も聞きました。

税理士やファイナンシャルプランナーと早めに連携しておくと、制度を上手に使える家づくりになりますよ。

★「住宅ローン控除」についてはこちらの記事もご覧ください。

10. 二世帯住宅のインフラ費用の案分

二世帯住宅では、水道・電気・ガスなどのインフラ費用をどう分けるかが意外と重要な問題です。

■メーターを分ける

水道・電気・ガスそれぞれに親世帯・子世帯で独立したメーターを設置する方法。

完全分離型住宅では特におすすめで、各世帯ごとに使用量が明確になるため、費用のトラブルが起きにくくなります。

  • メリット:光熱費が正確に分けられる、公平感がある
  • デメリット:設置費用がかかる、配管計画が複雑になる可能性あり

■メーターを分けない(共用)

電気・水道などを一括メーターでまとめて設置し、費用を折半または概算で分ける方法。

完全同居型や部分共有型でよく見られます。
使用量に差が出やすい家庭では「納得できない」「不公平感がある」などトラブルにつながるリスクもあります。

  • メリット:初期費用が抑えられる、設計がシンプル
  • デメリット:公平な費用分担が難しい、トラブルになりやすい

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

完全分離型にするならメーター分離はほぼ必須。費用は多少かかっても、後々のトラブルを避けられます。

「実際に住み始めてから、光熱費の負担でもめました…」という話、何度も見てきました。

部分共有型でも「予想以上に片方の世帯の使用量が多かった」なんてことはザラです。

誰がどれだけ使っているのか明確にできる仕組みづくりは、二世帯住宅の満足度を左右するポイントですよ。

11. 二世帯住宅が難しい理由

■売り出し価格が高くなる

二世帯住宅は建築費も高額になるため、将来的に売却を考えると相場よりも高い価格帯になります。
その分、購入希望者が限られてくるのが実情です。

■買い手が限られる

「二世帯住宅」として設計されている家は、単世帯では使いづらい間取りも多く、
中古住宅として市場に出すときに、ニーズが限られ売却に時間がかかる傾向があります。

■売却に同意が得られない

親世帯・子世帯で所有者が異なる場合や、共有登記の場合、売却時に全員の同意が必要です。

これがトラブルの原因になることもあり、資産処分がスムーズにいかないケースもあります。

■それぞれに向いている家庭の特徴

向いている人向いていない人
長期的に住む予定の人将来的に売却を考えている人
親子間の関係が良好な人相続や金銭面に不安がある人
家族内で話し合いがしっかりできる人意思決定がバラバラな家庭

■元住宅営業マンのひとこと

まめおやじ
まめおやじ

実際に「親が亡くなって空き家状態」「片方の世帯が出ていってトラブルに」なんてことも…。

「二世帯住宅=一生安心」ではありません。時間と共に家族の関係もライフスタイルも変わります。

だからこそ、「もしものときにどうするか」まで話し合っておくことが非常に大切なんです。
建てる前のシミュレーションが、将来の安心に繋がりますよ。

12. 実例紹介

■完全分離二世帯住宅

駅徒歩5分の好立地に土地を購入。1階がご主人のお父様一人で住まい。2階夫婦と子供一人でお住まい。結局、お父様は同居せずで空き家状態。土地建物の名義は若夫婦のご主人単独名義。ローン控除はご主人のみ。

■部分共有二世帯住宅+2台車庫

駅徒歩5分の好立地の建替。玄関のみ共有。1階母一人住まい+車庫2台。2階独身の息子た将来用に3LDK。土地は母名義、建物は息子単独名義。ローン控除は息子のみ。

13. まとめ

二世帯住宅は、家族の近さと支え合いが魅力の住まい方です。

ですが、完全同居・部分共有・完全分離のどれを選ぶかによって、暮らしの快適さも大きく変わります。

建築費、光熱費、登記や税制優遇などの制度面に加え、家族間の関係性や将来的な資産処分のしやすさまで考慮して検討することが大切です。

正直、なんとなく」で二世帯住宅を建てて後悔している人も少なくありません。

ですが、しっかり話し合いを重ねて、お互いの思いや希望を整理できれば、
二世帯住宅はとても心強く、安心感のある住まいになります。

このページが、あなたとご家族にとって後悔しない二世帯住宅の第一歩となることを願っています。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

貴方にとって良い一日を~まめおやじ

この記事を書いた人
まめおやじ

元住宅営業マンが、業界在籍34年の経験を活かし、これから家を考えている人に役立つ情報を発信するブログ。

自宅:木造平屋(2019年築)受賞歴あり
経歴:大手木質系プレハブ会社
   大手鉄骨系プレハブ会社
   木造在来工法ビルダー
資格:宅建士
   ファイナンシャル
   プランナー

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