こんにちは。元住宅営業マンまめおやじです。
「お店と住まいを一緒にできたら効率的だけど、実際どうなの?」
そんな疑問を持つ方へ、元住宅営業マンが実体験と顧客事例をもとに、店舗併用住宅のすべてを解説します。
住宅ローンや税金、火災保険の注意点、そして実際に建ててみてどうだったのかまで、リアルな声をお届けします。
- 店舗併用住宅を検討している
- 自宅で美容室・サロンなどを開業したい
- 将来的な二世帯化も視野に入れている
- 住宅ローンが使えるのか不安
- 税金や保険の取り扱いも知りたい


1. 店舗併用住宅とは?
■カンタン解説
店舗併用住宅とは、1階や一部のスペースを「店舗」や「事務所」にして、他の部分を「居住スペース」として使う建物のことです。
たとえば、美容室やカフェ、ネイルサロン、学習塾などを自宅の一部で営業するケースが多く見られます。
最近では、在宅ワークや副業の増加により、仕事と生活を同じ建物で完結させたいというニーズが高まっており、店舗併用住宅の人気もじわじわと伸びています。
■元住宅営業マンのひとこと

現役時代、美容院・鍼灸院・ネイルの話が多かったですね。
2. 店舗併用住宅のメリット

- テナント料がかからない
- 仕事と家事育児が両立しやすい
- 事業経費として一部を計上できる
- 家賃収入を得られる可能性がある
- 将来は二世帯住宅にリフォームしやすい
■カンタン解説
1.テナント料がかからない
自宅の一部を店舗にすることで、テナント料や店舗賃貸料が不要になります。特に固定費が抑えられるのは、開業時の大きなメリットです。
2.仕事と家事育児が両立しやすい
自宅で働けるため、育児中の方や介護が必要な家族がいる方でも、仕事と家庭を両立しやすくなります。
3.事業経費として計上できる
店舗部分にかかる電気代、水道代、建築費の一部などは、事業用経費として計上できます。税制面でも有利になるケースがあります。
4.家賃収入を得られる可能性がある
自分でお店を開かなくても、店舗部分を他の人に貸すことで家賃収入を得ることが可能です。将来的に収益物件としての活用も視野に入れられます。
5.将来は二世帯住宅にリフォームしやすい
店舗部分を後に住宅スペースにリフォームすれば、二世帯住宅として活用することも可能。ライフステージに応じた柔軟な運用ができます。
■元住宅営業マンのひとこと

店舗併用住宅は経費面・時間面のメリットが大きいです。
ただし、店舗スペースが“空き部屋”にならないよう、将来設計まで含めたプランニングが重要です。
3. 店舗併用住宅のデメリット

- 店舗部分の面積に制限がある
- 間取りによって生活が不便になることも
- セキュリティ対策が必要
- 建築費が割高になる場合がある
- 売却しにくいことがある
■カンタン解説
1.店舗部分の面積に制限がある
住宅ローンを利用する場合、店舗部分の面積は全体の50%未満などの制限があります。希望する規模の店舗が作れないこともあるので要注意です。
2.間取りによって生活が不便になることも
動線が複雑になったり、音や匂いが生活空間に入り込んだりと、店舗と住宅の両立には間取り設計が非常に重要になります。
3.セキュリティ対策が必要
お客様が出入りする空間が自宅と一体化しているため、不審者対策や防犯設備の強化が必要になります。
4.建築費が割高になる場合がある
一般的な住宅よりも電気・水道・排水などの店舗設備が追加されるため、初期の建築費用は高くなる傾向があります。
5.売却しにくいことがある
店舗付き住宅は、住居専用住宅と比べて購入希望者が限定されるため、売却が難航するケースがあります。将来の資産価値も踏まえて検討が必要です。
■元住宅営業マンのひとこと

将来、自分や家族が使わなくなった場合の活用法まで考えておかないと、後悔することもありますよ。
4. 店舗併用住宅に住宅ローンは使える?

■結論
使えます。ただし、条件があります。
■詳しく解説
店舗併用住宅でも住宅ローンを利用することは可能です。
ただし「住宅」が主であることが前提で、以下のような条件をクリアする必要があります。
- 住宅部分が建物全体の50%以上あること
- 住居部分にしっかり生活機能(風呂・キッチンなど)があること
もし、店舗部分が大きくなりすぎると、住宅ローンではなく「事業用ローン」や「アパートローン」の扱いになることもあり、金利や返済条件が不利になる可能性があります。
金融機関によって取り扱いが異なります。
■元住宅営業マンのひとこと

実際には、住宅ローン+自己資金+開業資金という組み合わせが多いです。
店舗スペースを広く取りたいなら、事前に金融機関へ相談を。
★「住宅ローン」についてはこちらの記事もご覧ください。
5. 店舗併用住宅に関する控除・税金は?

■知っておくべき税制のポイント
店舗併用住宅では、「住宅部分」と「店舗部分」で税制上の扱いが分かれるケースがあります。
代表的なものを見てみましょう。
■住宅ローン控除
住宅部分に関しては、住宅ローン控除の対象になります。
ただし、控除の対象額は「住宅部分の面積割合」に応じて計算されます。店舗部分は除外されます。
★「住宅ローン控除」についてはこちらの記事もご覧ください。
■固定資産税
店舗部分が1/2以下であれば、専用住宅(=一般住宅)の土地と同様のに軽減を受けることができます。
【200m2を超える一般住宅用地では、原則として課税標準額を3分の1に軽減。200m2以下の小規模住宅用地では、6分の1に軽減】
■減価償却や経費計上
店舗部分の建築費や維持費の一部は、経費や減価償却費として計上可能。
個人事業主や法人の場合は税務処理でメリットがあります。
■元住宅営業マンのひとこと

ローン控除は住宅だけ”“固定資産税は店舗部分が重くなることもある”ということを知らずに、後で驚くお客様もいました。
税金関係は建築前に税理士さんにしっかり確認をしましょう。
6. 店舗併用住宅の火災保険はどうなる?

■結論
住居部分と店舗部分で、火災保険の契約内容が分かれることが多いです。
■詳しく解説
店舗併用住宅では、住居部分と店舗部分の使い方が異なるため、火災保険の扱いも変わってきます。ポイントは以下のとおりです。
- 住居部分:一般的な住宅用火災保険が適用
- 店舗部分:業種によりリスク評価が異なり、保険料が高くなることも
- 1契約でカバーできる場合もあるが、内容によっては別契約が必要
たとえば、飲食店や美容室など火気や電気器具を多用する業種は「火災リスクが高い」と見なされ、保険料が住宅単体より高くなることがあります。
また、建物の用途や面積割合によっては、住宅用保険では契約不可となる場合もあるため、事前に保険会社と設計担当の両方に確認しましょう。
■元住宅営業マンのひとこと

ネイルサロン併用住宅の場合は、専用住宅(=一般住宅)と同じ扱いだったことがありました。
7. 店舗併用住宅でよくある落とし穴と注意点

- 騒音やにおいが住居に影響する
- 店舗が失敗すると住宅ローン返済に影響する
- 住宅ローン審査で希望額が借りられない
- 将来の使い道が限定される
1.騒音やにおいが住居に影響する
店舗の種類によっては、機械音やお客様の出入り、調理によるにおいなどが生活空間に影響を及ぼすことがあります。
- 防音ドア・防臭設計を導入
- 営業時間と生活時間が重ならないよう工夫
- 二重サッシや気密性の高い建材の使用が有効
2.店舗が失敗すると住宅ローン返済に影響する
開業当初の集客がうまくいかず、収入が計画より減ってしまうと、ローン返済が厳しくなるリスクがあります。
- 事業計画をしっかり立てる
- 家計と事業用の財布は分けて管理
- 副業OKな業種からスタートするのも一手
3.住宅ローン審査で希望額が借りられない
「住宅」としての面積比率が小さい場合、住宅ローン審査が通らない・借入限度額が下がるなどのリスクがあります。
店舗部分は融資できない金融機関もあります。
また、新規開業の場合は審査が厳しくなる場合があります。
- 設計段階で店舗と住宅のバランスを調整
- 店舗面積を40〜49%程度に留めると安心
- 自己資金や事業用ローンも視野に
4.将来の使い道が限定される
店舗ありきの間取りにすると、将来的に使い道が限定されてしまうことも。ライフステージの変化に備えた設計が必要です。
- 店舗部分を将来「趣味室」「物置」「子ども部屋」などに転用できるように設計
- 間取り変更しやすい構造にする
■元住宅営業マンのひとこと

店舗ありき”で突き進むと、後々“こんなはずじゃ…”となるケースも。生活と事業、両方の未来を考えたプランニングがカギです。
8. 店舗併用住宅の実例紹介
■美容室の店舗併用住宅

新興住宅地内の住替。二階建てに美容院の平屋を隣接した住宅。バス停の目の前が店舗入り口で住居部分は裏面の道路から出入りするケースです。
- 駐車場は店舗用と住居用で分ける設計
- バス道路沿いで人目につくので防犯対策は特にせず。
- スッキリしたシンプルな外観に
もともと知り合いが多く、バス停の前という立地もあり、人気店に。住宅ローンは早期に返済されたとのことです。現在は娘夫婦が継いでます。
■ネイルサロン併設の二世帯住宅

もともと借家で完全予約制で営業。固定客がついていたので、土地の安い角地を購入し二世帯住宅と店舗併用住宅を建築。
正面が店舗入り口と駐車場。西道路から住宅入口と車庫。
- 店舗正面はタイル貼りでおしゃれな外観
- 火災保険料は専用住宅(=一般住宅)同様
- 親のアパート代7万と自分の借家代13万合計20万よりローンの額が下回った
建物がおしゃれなので、予約が取りにくくなり、従業員を雇っているようです。
■元住宅営業マンのひとこと

仕事も暮らしもひとつ屋根の下”というのは、実現できればすごく魅力的。
でも、店舗と住居の切り分け方がうまくできている実例ほど、長く快適に暮らせています。
9. まとめ:店舗併用住宅は計画がすべて

店舗併用住宅は、「暮らしながら働ける」「家賃を払わずに店舗運営ができる」など、多くのメリットがあります。
ただし、ローン・税金・設計・保険・騒音など、気をつけるべき点が非常に多いのも事実です。
成功のコツは、以下のようなポイントを押さえることです。
- 住宅と店舗のバランスを意識した設計
- 事業リスクを見越した資金計画
- 将来の転用も見据えた間取り
- 税務・保険などの専門家への相談
理想のライフスタイルを叶える店舗併用住宅。夢を実現するためにも、「建てる前の情報収集」と「プロとの相談」をしっかり行ってくださいね。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ


コメント