こんにちは。まめおやじです。
「連帯債務」という言葉、住宅ローンを検討しているとよく耳にしませんか?
夫婦でマイホームを買うときに利用されることが多い制度ですが、仕組みを正しく理解しておかないと、後々トラブルの原因になることも。
本記事では、元住宅営業マンの視点から、連帯債務のメリット・デメリット、ペアローンや連帯保証との違い、さらに向いている人・外す方法まで、わかりやすく整理して解説します。
- これから家を建てる人
- 住宅ローンを検討中の人
- 夫婦共働きの人
- 「連帯債務」で検討している人

1. 連帯債務とは?

住宅ローンを組む際によく聞く「連帯債務(れんたいさいむ)」という言葉。
これは、夫婦や親子など2人以上でひとつの借金を背負う仕組みです。
- 連帯債務とは、複数人が同じ借金に対して「全額の返済義務」を持つ仕組み。
- 住宅ローンでよく使われ、夫婦で1本のローンを組むときに使われる。
- どちらか一方が返せなくなっても、もう一人が全額を返す責任あり。
- 収入を合算できるので、借入額を増やせるのがメリット。
- 名義は両方になるが、契約は1本のローン契約。
- 「連帯保証人」とは違う制度(次章で解説)。
たとえば、住宅ローン3,000万円を夫婦で連帯債務として組んだ場合、どちらも「3,000万円すべてを返す責任がある」ということになります。
単に半分ずつ返すという感覚ではなく、「どちらかが返せなくなった場合は、もう一人が全額を返す責任を負う」というのが大きなポイントです。
◆ 違いをわかりやすく表で整理
種類 | 債務者 | 控除の対象 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
単独ローン | 1人 | 1人 | 返済者が明確 |
連帯債務 | 2人 | 原則2人とも対象 (※条件あり) | どちらも全額返済義務あり |
2. 連帯保証人との違いは?

- 「連帯債務」と「連帯保証」は名前が似ていて混同しやすい。
- どちらも「万が一のときに支払う責任がある」制度だが、役割はまったく違う。
- 簡単に言うと、連帯債務は“借主”、連帯保証は“保証人”。
◆ 違いをわかりやすく表で整理
項目 | 連帯債務 | 連帯保証 |
---|---|---|
立場 | 借金の主な当事者(借主) | 借金の保証人 |
返済義務 | 最初から全額の返済義務あり | 本人が返せない場合に全額返済義務 |
契約者 | 債務者としてローン契約に名を連ねる | 保証人として契約書に署名 |
控除の対象(住宅ローン控除) | 一定条件で両者とも可能 | 原則不可 |
借入限度への影響 | 収入合算が可能 | 基本的に合算不可 |
▼元住宅営業マンのひとこと

「連帯保証人」はあくまで“保険”のような存在。
一方で「連帯債務者」は実質的に“借金の当事者”なので、責任の重さが全然違います。
住宅ローンで使われるのはほとんどが「連帯債務」または「ペアローン」。
連帯保証人になるケースはまれです。
3. 連帯債務のメリット

- 収入合算ができるため、借入可能額が増える。
- 夫婦それぞれで住宅ローン控除が使える(持分割合による)。
- ローン契約が1本なので手続きが比較的シンプル。
- 団体信用生命保険(団信)に加入できる場合もある(主債務者のみのケースが多い)。
▼元住宅営業マンのひとこと

共働き夫婦にとって「借入額を増やせる」「控除が2人分使える」というのは大きな魅力。
高額な住宅を購入する場合に特に選ばれやすい形です。
4. 連帯債務のデメリット

- どちらかが返せなくなっても、もう一人に全額返済義務。
- 離婚しても連帯債務は自動で消えない。
- 団信は1人分のみの加入が多く、死亡リスクに片寄りが出る。
- 住宅売却や名義変更の際に手続きが複雑。
▼元住宅営業マンのひとこと

「収入合算」で得したつもりが、将来的なリスクを見落とす方も多いです。
万が一のときに、どちらがどれだけ責任を持つかを明確にしておくことが重要です。
★団信についてはこちらの記事もご覧ください。
5. 連帯債務とペアローンの違い

- 連帯債務:1本のローンを2人で背負う。契約は1本。控除も可能(条件あり)。
- ペアローン:2人がそれぞれ別々に住宅ローンを契約。契約は2本。
- 団信は連帯債務だと1人分が基本、ペアローンなら両方加入可能。
- 手数料や事務コストはペアローンの方が高くなる傾向。
◆ 違いをわかりやすく表で整理
項目 | 連帯債務 | ペアローン |
---|---|---|
契約本数 | 1本 | 2本 |
団信加入 | 主債務者のみが多い | 両方とも加入可能 |
控除の対象 | 可能(持分に応じて) | 両者とも可能 |
手数料 | 比較的少ない | 2本分かかる |
離婚時の手続き | 複雑 | さらに複雑になる場合も |
▼元住宅営業マンのひとこと

ペアローンはリスク管理に強いがコストも高い。
逆に連帯債務は「シンプルさ」を重視する人向け。
何を重視するかで選び方が変わります。
6. 連帯債務は住宅ローンでどう使う?

- 夫婦で住宅を購入し、収入を合算してローンを組むケースで多く使われる。
- 銀行によっては、ペアローンは対応不可でも連帯債務なら可能な場合も。
- 持ち分割合に応じて、住宅ローン控除の権利が配分される。
- 団信や借入条件は、金融機関ごとに違うので要確認。
▼元住宅営業マンのひとこと

「どの金融機関で、どんな条件で借りるか」で連帯債務の使い勝手は大きく変わります。
制度の違いだけでなく、実際の運用面を比較するのがカギです。
7.住宅ローン控除額の比較
単独ローン・連帯債務・ペアローンそれぞれの住宅ローン控除額を試算してみましょう。
※所得は変わらないものとし、その他の控除条件は考慮せず。
- 家族構成:夫婦+子供2人
- 年収:夫600万 妻450万 ローン総額5000万
- 源泉徴収額:夫25万・妻15万
- 名義:単独|夫1/1、連帯債務|夫6妻4、ペア|夫6妻4
- 住宅:長期優良住宅・2025年入居予定
■単独名義(夫100%)
項目 | 内容 |
---|---|
借入額持分 | 夫 5,000万円 |
控除対象額/年 | 35万円(0.7%) |
所得税控除 | 最大 25万円/年 |
住民税控除 | 最大 10万円/年 |
年間合計控除額 | 35万円 |
13年間合計 | 455万円 |
■連帯債務(夫6:妻4)
項目 | 夫 | 妻 |
---|---|---|
借入額持分 | 3,000万円 | 2,000万円 |
控除対象額/年 | 21万円 | 14万円 |
所得税控除 | 最大 21万円 | 最大 14万円 |
住民税控除 | 最大 4万円 | 最大 1万円 |
年間控除額 | 25万円 | 15万円 |
13年間合計 | 325万円 | 195万円 |
■ペアローン(夫6:妻4)
項目 | 夫 | 妻 |
---|---|---|
借入額 | 3,000万円 | 2,000万円 |
控除対象額/年 | 21万円 | 14万円 |
所得税控除 | 最大 21万円 | 最大 14万円 |
住民税控除 | 最大 4万円 | 最大 1万円 |
年間控除額 | 25万円 | 15万円 |
13年間合計 | 325万円 | 195万円 |
■控除額比較まとめ
名義方式 | 13年合計控除額 |
---|---|
単独名義 | 455万円 |
連帯債務 | 520万円 |
ペアローン | 520万円 |
13年間で約65万ほど住宅ローン控除が増えることになります。
後述する注意点もありますので、併せてしっかりと検討しましょう。
▼元住宅営業マンのひとこと

所得税をたくさん払っている人の方がは単独より控除のメリットは多くなります。
持分割合と年収もポイントになります。
★住宅ローン控除についてはこちらの記事もご覧ください。
8. 連帯債務が向いている人・向いていない人
◆向いている人

- 共働きで、収入を合算して借入額を増やしたい人
- 将来的にも2人で住み続ける予定の夫婦
- ペアローンよりも手続きをシンプルにしたい人
- 住宅ローン控除や持分を2人で分けたい人
◆向いていない人

- どちらかの収入に大きな不安がある場合
- 離婚・相続などの将来の変化に備えたい人
- 団信を両方にかけたい人(=ペアローンの方が適している)
▼元住宅営業マンのひとこと

連帯債務は「一緒に借りて一緒に責任を持つ」制度です。
夫婦間の信頼と将来設計が重要になります。
9. 連帯債務・ペアローンでどちらかが死亡したら?

- 連帯債務の場合、団信に入っていた方が亡くなればその分の返済は免除される。
- ただし、団信は主債務者のみが加入しているケースが多く、残った人が返済を続ける必要あり。
- ペアローンなら両方に団信があるため、死亡時に片方のローンは消える。
- 銀行や契約内容により、条件が大きく異なるので要注意。
▼元住宅営業マンのひとこと

「団信が片方だけ」という点は見落とされがち。
万一のとき、残された側の生活に大きな影響が出ます。
10. 連帯債務を外すには?

- 離婚や死亡などで連帯債務を一方だけにしたい場合もある。
- 方法としては以下の2つ:
- ■借り換え(単独ローンへ)
- ■住宅の売却・ローン完済
- ただし、金融機関の承諾が必要で、希望通りいかないケースも多い。
- ローン残高や収入状況によっては、外すのが難しい場合も。
▼元住宅営業マンのひとこと

いったん組んだ連帯債務は簡単には外せません。
家建てから「離婚」って結構ありました。多くのケースで売却してました。
希望金額で売れず、一部ローンが残るケースもありました。
将来の変化を見越して、最初の段階でよく話し合っておくことが大切です。
11. 元住宅営業マンのアドバイス

制度より「家族の未来設計」を重視しましょう。
- 連帯債務は制度としては便利でも、使う人次第でリスクにもなりうる。
- おすすめなのは以下のような人たち:
- ■共働きで、将来的にもずっと一緒に暮らす予定の夫婦
- ■団信の片寄りに納得できる
- 逆に、少しでも「何かあったら不安」と感じるなら、ペアローンも選択肢に。
- 大事なのは「借入額」よりも、「返し続けられる安心感」。
▼元住宅営業マンのひとこと

制度の違いに振り回されるより、「自分たちに合っているか」を優先しましょう。
12. まとめ
結論:連帯債務は「使いどころ」を間違えなければ強力な武器
- 連帯債務は、夫婦で住宅ローンを組む際に便利な制度。
- 収入合算・住宅ローン控除などのメリットがある一方で、責任の重さや将来のリスクも大きい。
- ペアローンとの違いや、将来のライフプランも考慮して判断することが重要。
- 「借りる前に知っておく」ことで、後悔のない家づくりができます。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ

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